概要
「アヴィニョンの歴史地区」は、フランス南部の都市アヴィニョンの旧市街を対象とする世界遺産です。14世紀、教皇庁がローマから移された「アヴィニョン捕囚」の時代に、カトリック世界の中心として繁栄しました。この時期に建設された壮大な教皇庁宮殿や、ローヌ川に架かるサン・ベネゼ橋(アヴィニョンの橋)などが含まれ、1995年に登録されました。
世界遺産としての価値
この遺産は、以下の登録基準を満たしていると評価されています。
- 登録基準(i): 教皇庁宮殿は、14世紀ヨーロッパにおけるゴシック建築の傑作であり、要塞と宮殿の機能を兼ね備えたその規模と構造は他に類を見ません。
- 登録基準(ii): 教皇庁が置かれたことで、イタリアから多くの芸術家がアヴィニョンに集まり、北方ヨーロッパのゴシック美術とイタリア美術が交流する重要な拠点となりました。
- 登録基準(iv): 14世紀の教皇庁の権勢を象徴する優れた建築群であり、中世ヨーロッパのキリスト教世界の歴史を理解する上で極めて重要です。
主な構成資産
世界遺産は、城壁に囲まれた歴史地区内の主要な建造物群で構成されます。
| 遺跡名 | 特徴 |
|---|---|
| 教皇庁宮殿 | 世界最大級のゴシック様式の宮殿。旧宮殿と新宮殿からなり、内部は壮麗なフレスコ画で飾られています。 |
| サン・ベネゼ橋(アヴィニョンの橋) | 童謡「アヴィニョンの橋の上で」で有名な中世の橋。度重なる洪水で現在は4つのアーチのみが残っています。 |
| ノートルダム・デ・ドン大聖堂 | 教皇庁宮殿に隣接するロマネスク様式の大聖堂。黄金のマリア像が頂で輝いています。 |
| プチ・パレ(小宮殿) | かつての大司教館で、現在は美術館としてアヴィニョン派やイタリア・ルネサンスの絵画を収蔵しています。 |