城塞歴史都市ハラール・ジュゴルとは
ハラール・ジュゴルは、エチオピア東部に位置する城壁に囲まれた歴史都市です。イスラム教の「第4の聖地」として知られ、7世紀から続く豊かな宗教的・文化的伝統を保持しています。2006年にユネスコの世界文化遺産に登録され、アフリカとイスラムの文化が融合した独特の都市景観が高く評価されています。
遺産の価値と登録基準
ハラールは、長年にわたりアフリカの角における商業とイスラム文化の中心地として栄えました。その都市構造と建築様式は、アフリカ内陸部とアラビア半島、さらにはインドとの文化交流を物語る貴重な証拠です。
- 登録基準(ii):アフリカとイスラムの伝統が融合した独自の都市計画と建築様式に、文化交流の顕著な証拠が見られます。
- 登録基準(iii):イスラム教の聖地として、またハラリ人の文化の中心として、消滅の危機にある文化的伝統の顕著な見本です。
- 登録基準(iv):伝統的なハラリ住宅の設計は、イスラムの文化的・社会的影響を受けた都市住居の優れた類型です。
- 登録基準(v):城壁に囲まれた伝統的な都市構造と土地利用は、文化的伝統を代表する顕著な見本です。
都市の構成要素
「ジュゴル」と呼ばれる城壁の内側には、迷路のような細い路地が張り巡らされ、数多くのモスクや聖廟、伝統的な家屋が密集しています。
| 構成要素 | 特徴 |
|---|---|
| ジュゴル(城壁) | 高さ約5mの石造りの城壁。5つの門があり、都市の防御と領域を画定してきた。 |
| モスクと聖廟 | 城内には82のモスクと102の聖廟が存在し、市民の信仰の中心となっている。 |
| ハラリ住宅 | 石と木で造られた伝統的な家屋。内部は3つの部屋に分かれ、壁には籠が飾られるなど独特の様式を持つ。 |
| 市場 | 香辛料、コーヒー、織物などが取引される活気ある市場。多様な民族が集まる文化交流の場。 |
保全と観光
ハラール・ジュゴルでは、歴史的建造物の保存と、伝統的な生活様式を維持するための取り組みが進められています。夜間に野生のハイエナに餌を与える「ハイエナマン」は、人間と自然の共生を示すユニークな観光資源となっています。
参考文献
「ハラール・ジャゴル要塞歴史都市」.UNESCO. https://whc.unesco.org/ja/list/1189