概要
ケレタロ州シエラ・ゴルダのフランシスコ会ミッションは、メキシコ中央部の険しい山岳地帯シエラ・ゴルダに位置する5つの教会堂からなる世界文化遺産です。18世紀半ば、フランシスコ会の修道士フニペロ・セラ(後にカリフォルニア伝道の父と呼ばれる)の指導のもと、この地域へのキリスト教布教の最終段階として建設されました。ヨーロッパのバロック様式と、先住民パメ族の豊かな装飾表現が見事に融合した独創的なファサードが特徴で、2003年に登録されました。
5つのミッションとその特徴
5つのミッションはそれぞれ異なる聖人に捧げられており、そのファサードにはキリスト教の図像と、トウモロコシや鷲、ジャガーといった先住民の土着的なシンボルが共存しています。この装飾は「メスティーソ・バロック」または「ウルトラ・バロック」と呼ばれ、文化の調和を象徴しています。
| ミッション名 | 特徴 |
|---|---|
| サンティアゴ・デ・ハルパン | 5つのうち最初に建設。農業のシンボルが彫られている。 |
| サンタ・マリア・デル・アグア・デ・ランダ | 繊細な彫刻が施されたファサードが特徴。 |
| サン・フランシスコ・デル・バジェ・デ・ティラコ | 最も保存状態が良く、海洋生物のモチーフが見られる。 |
| ヌエストラ・セニョーラ・デ・ラ・ルス・デ・タンコヨル | ヨーロッパの影響が色濃い複雑な図像を持つ。 |
| サン・ミゲル・コンカ | 最も小規模だが、先住民の要素が強く表れた装飾が特徴。 |
世界遺産登録基準
- (ii) ヨーロッパの宣教師と先住民の文化が一体となり、シエラ・ゴルダ独自の建築・装飾様式を生み出した文化交流の顕著な例である。
- (iii) 18世紀のアメリカ大陸におけるキリスト教化の重要な段階を物語る、文化的伝統の類い稀な証拠である。