ドーセット及び東デヴォン海岸(ジュラシック・コースト)の概要
ドーセット及び東デヴォン海岸は、イングランド南西部に約150kmにわたって延びる海岸線で、その地質学的な重要性から「ジュラシック・コースト」の通称で知られています。2001年にイギリス初の世界自然遺産に登録されました。この海岸の最大の特徴は、中生代の三畳紀、ジュラ紀、白亜紀にわたる約1億8500万年間の地層が、ほぼ年代順に露出している点です。海岸を東へ歩くと、まるで地球の歴史を遡るような体験ができます。
世界遺産としての価値
この海岸線は、地球史を解明する上で他に類を見ない価値を持つことから、以下の基準で評価されています。
- 登録基準(viii): 地球の歴史、特に中生代の各時代を代表する岩石層や地形、そして化石の記録を連続的に観察できる、世界でも類まれな場所です。アンモナイトや魚竜、首長竜といった海洋生物の化石が豊富に産出し、古生物学の研究に大きく貢献してきました。また、海岸浸食によって形成された地形は、地殻変動のプロセスを理解する上での重要な見本となっています。
主な見どころと地質学的特徴
ジュラシック・コーストには、化石採集地から美しい自然景観まで、多くの見どころが点在します。
見どころ | 特徴 |
---|---|
ライム・リージス | ジュラ紀初期の地層が露出し、「化石の宝庫」として有名。メアリー・アニングが魚竜の化石を発見した場所。 |
チャーマス | ライム・リージスと並ぶ化石採集の名所。アンモナイトの化石が豊富。 |
ダードル・ドア | 硬い石灰岩の層が波の浸食によって削られ、天然のアーチを形成した象徴的な景観。 |
ラルワース・コーブ | 円形に近い美しい入り江。地層が海に向かって急角度で傾斜している様子が観察できる。 |