概要
「コーンウォールと西デヴォンの鉱山景観」は、イングランド南西端に広がる世界文化遺産です。18世紀から19世紀初頭にかけて、この地域は銅と錫の世界的な産出地であり、産業革命を支える重要な役割を果たしました。地下深くまで掘り進められた鉱山、エンジンハウス、鋳造所、港湾、そして鉱夫たちの集落が一体となった文化的景観が広範囲に残されています。
技術革新と世界的影響
この地域の鉱業は、深部採掘技術の発展に大きく貢献しました。特に、リチャード・トレヴィシックらが開発した高圧蒸気機関は、坑内の排水を可能にし、より深い鉱脈の採掘を実現しました。19世紀に鉱業が衰退すると、「カズン・ジャック」と呼ばれたコーンウォール出身の鉱夫たちは世界中に移住し、彼らの持つ高度な技術と知識を南アフリカ、オーストラリア、南北アメリカなどの鉱山開発に伝えました。
主な構成資産
この遺産は、鉱業の歴史を示す10の独立したエリアから構成されています。それぞれが採掘、加工、輸送の異なる側面を物語っています。
| 遺跡名 | 特徴 |
|---|---|
| ギーヴァー鉱山 | 20世紀まで操業していた錫鉱山。多くの施設が博物館として保存されている。 |
| レヴァント鉱山とボタラック鉱山 | 断崖絶壁に位置し、海底下まで坑道が伸びる劇的な景観で知られる。 |
| グウェナップ鉱山地区 | 19世紀に「世界で最も豊かな銅山地帯」と称されたエリア。 |
世界遺産登録基準
- (ii) 18世紀から19世紀にかけて、蒸気機関技術や鉱業技術の発展と普及において中心的な役割を果たした。
- (iii) 鉱業に根ざしたコーンウォールの文化的伝統は、移住を通じて世界中に広まり、独特の文化を形成した。
- (iv) 深部採掘を可能にしたエンジンハウス群や関連施設は、産業革命が作り出した景観の顕著な見本である。