コルキスの雨林と湿地帯とは
コルキスの雨林と湿地帯は、黒海沿岸に位置するジョージアの自然遺産です。古代コルキス王国があったこの地域には、氷河期を生き延びた非常に古い落葉樹林が広がっています。その独特の生態系と生物多様性が評価され、2021年にユネスコの世界自然遺産に登録されました。
遺産の価値と登録基準
この遺産の価値は、地球上でも非常に珍しい、手つかずの温帯雨林と広大な湿地帯が連続して存在している点にあります。この地域は、約1,100種の維管束植物や、絶滅危惧種を含む約500種の脊椎動物の生息地となっており、生物多様性のホットスポットです。
- 登録基準(ix): 陸上、淡水、沿岸および海洋の生態系や動植物群集の進化や発展において、重要な進行中の生態学的・生物学的過程を代表する顕著な見本であること。
- 登録基準(x): 生物多様性の保全上、最も重要かつ代表的な自然生息域。絶滅のおそれのある、普遍的な価値を持つ種が生息している地域。
主な保護区と自然環境
この遺産は、ムティララ国立公園やコルヘティ国立公園など、ジョージア国内の7つの保護区から構成されています。標高2,500メートルを超える山岳地帯から黒海沿岸の低地まで、多様な環境が広がっており、特に湿度の高い気候が豊かな植生を育んでいます。
| 構成資産の例 | 特徴 |
|---|---|
| コルヘティ国立公園 | 広大な湿地帯と氾濫原の森林が特徴 |
| ムティララ国立公園 | ジョージアで最も湿度が高い地域の一つで、豊かな温帯雨林が広がる |
| キントリシ保護区 | 古代から続くブナや栗の原生林が残されている |
参考文献
UNESCO World Heritage Centre. “Colchic Rainforests and Wetlands”. https://whc.unesco.org/ja/list/1616