概要
モデナの大聖堂、鐘楼、グランデ広場は、イタリア北部エミリア=ロマーニャ州の都市モデナの中心部に位置する世界遺産です。12世紀に建設されたロマネスク様式の傑作である大聖堂、その隣にそびえる鐘楼「ギルランディーナ」、そして市民生活の中心であったグランデ広場が一体となって、中世ヨーロッパの都市における宗教と市民生活の結びつきを見事に示しています。
歴史
モデナの大聖堂は、市の守護聖人である聖ジェミニアーノに捧げられ、1099年に建築家ランフランコと彫刻家ウィリゲルムスのもとで建設が始まりました。当時、この共同事業は市民の強い信仰心と自治の精神を象徴するものでした。大聖堂と鐘楼は、北イタリアにおけるロマネスク様式の発展に大きな影響を与え、その後の建築の手本となりました。グランデ広場は、古くから市場や式典、市民集会の場として機能し、モデナの歴史の中心舞台であり続けてきました。
主な構成資産
- 大聖堂(ドゥオーモ): イタリア・ロマネスク建築の最高傑作の一つ。特に彫刻家ウィリゲルムスによるファサードの『創世記』の物語を描いた浮き彫りは、ロマネスク彫刻の画期的な作品として高く評価されています。
- 鐘楼(トッレ・チヴィカ): 「ギルランディーナ」の愛称で親しまれる高さ約86mの塔。市のシンボルであり、かつては見張り台としての役割も果たしていました。
- グランデ広場: 大聖堂、鐘楼、市庁舎に囲まれた広場。中世の都市空間が良好な状態で保存されています。
世界遺産登録と登録基準
12世紀の宗教芸術と市民生活が融合したユニークな都市空間の証拠として、1997年に世界文化遺産に登録されました。登録基準は以下の通りです。
- (i) ランフランコとウィリゲルムスの共同制作による傑作であり、ロマネスク美術の発展に新たな地平を切り開いた。
- (ii) 12世紀の思想や価値観の交流を示す顕著な見本。
- (iii) 中世イタリアにおける都市の宗教的・市民的価値観を伝える他に類を見ない証拠。
- (iv) 中世の都市における宗教施設と市民施設が一体となった建築群の顕著な見本。
要素 | 特徴 |
---|---|
大聖堂 | ロマネスク様式の最高傑作。ウィリゲルムスによる『創世記』の彫刻が有名。 |
鐘楼(ギルランディーナ) | 高さ約86mを誇る市のシンボル。 |
グランデ広場 | 中世の面影を残す市民生活の中心地。 |