タフティ・バヒーの仏教遺跡群とサリ・バロールの近隣都市遺跡群
パキスタン北西部に位置するこの世界遺産は、1980年に登録されました。ガンダーラ地方における仏教文化の最盛期を代表する二つの遺跡、丘の上の僧院「タフティ・バヒー」と、麓の要塞都市「サリ・バロール」から構成されています。特にタフティ・バヒーは、その完璧な配置と奇跡的な保存状態の良さで知られています。
世界遺産登録基準
- 登録基準 (iv): ある期間を代表する建築様式、建築技術、科学技術の発展を示す顕著な見本であること。ガンダーラ地方の仏教僧院の建築様式と発展段階を理解する上で、最も重要な例の一つです。
遺産の概要と価値
「泉の玉座」を意味するタフティ・バヒーは、紀元後1世紀から7世紀頃まで活動した仏教僧院です。外敵からの攻撃を避けるため丘の上に建てられ、ストゥーパ(仏塔)を祀る中庭、僧侶たちの居住区、瞑想室、集会所などが計画的に配置されています。その構造は、ガンダーラ僧院の典型的な姿を今に伝えるものであり、考古学的価値が非常に高いとされています。一方、サリ・バロールは、タフティ・バヒーを支えたとされるクシャーナ朝時代の都市遺跡です。この二つの遺跡は一体となって、古代ガンダーラにおける宗教と社会の関係を物語る貴重な証拠となっています。
主な構成資産
遺跡名 | 特徴 |
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タフティ・バヒー僧院 | 丘の上に築かれた保存状態の良い仏教僧院。計画的な伽藍配置が特徴。 |
サリ・バロール都市遺跡 | タフティ・バヒーの麓に広がる古代の要塞都市。未発掘の部分も多い。 |