アルスランテペの遺丘とは
アルスランテペの遺丘は、トルコ南東部のアナトリア地方、マラティヤ県に位置する高さ約30メートルの人工の丘(テル)です。紀元前6千年紀からローマ時代まで、数千年にわたって人々が暮らし続けた集落の跡が層をなして積み重なっています。特に、紀元前4千年紀初頭の初期国家社会の誕生を物語る遺跡として重要であり、2021年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。
主な遺構
発掘調査により、世界最古級の宮殿複合体や行政・宗教施設、武器などが発見されており、中央集権的な権力の発生と官僚制の始まりを示しています。
| 遺跡名 | 特徴 |
|---|---|
| 宮殿複合体 | 紀元前4千年紀に遡る大規模な宮殿跡。行政、経済、宗教の中心地でした。壁画や封泥(粘土印章)が多数出土しています。 |
| ヒッタイト時代の城門 | 後のヒッタイト帝国時代に作られた城門。ライオンの彫刻が施されており、権力の象徴でした。 |
| 王の墓 | 紀元前3000年頃の墓とされ、豊富な副葬品とともに発見されました。 |
世界遺産としての価値
アルスランテペは、近東地域における国家の起源と初期の官僚制社会の成立過程を具体的に示す、他に類を見ない考古遺産です。権力の集中、社会階層の分化、公的機関の発展など、人類史の重要な転換点を証明する物証として極めて高い価値が認められています。
登録基準
- (iii) この遺跡は、近東における初期国家社会の誕生という、消滅してしまった文明の段階を証明する顕著な物証です。