概要
バット、アル・フトゥム、アル・アインの考古遺跡は、オマーン北部にある紀元前3千年紀(初期青銅器時代)の集落と墓地の遺跡群です。1988年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。これらの遺跡は、アラビア半島における初期の定住生活と葬送儀礼を理解する上で非常に重要であり、特に「蜂の巣状」と呼ばれる独特の形状を持つ墳墓群が有名です。当時の社会構造やメソポタミアとの交易を示す貴重な証拠が残されています。
世界遺産登録基準
- (iii) バット、アル・フトゥム、アル・アインの遺跡群は、紀元前3千年紀の初期青銅器時代におけるアラビア半島の葬送習慣に関する、最も完全でよく知られた例の一つです。
- (iv) バットの蜂の巣状墳墓や、アル・アインの塔墓は、この時代のユニークな建造物であり、当時の建築技術の発展を示しています。
主な遺跡
この世界遺産は、主に3つの地域の遺跡から構成されています。
遺跡 | 特徴 |
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バットの遺跡 | 最も規模が大きく、約100基の石造りの墳墓(蜂の巣状墳墓)と、円形の塔状建造物からなる広大なネクロポリス(共同墓地)が特徴です。 |
アル・フトゥムの遺跡 | バットの西約2kmに位置する遺跡。石造りの塔の遺構があり、防御施設または集会所であったと考えられています。 |
アル・アインの遺跡 | バットの北東約22kmに位置する遺跡。丘の尾根に一列に並んだ21基の蜂の巣状墳墓群は、非常に保存状態が良く、壮観な景観を作り出しています。 |
これらの遺跡は、古代オマーン(当時はマガン国と呼ばれた)の社会と文化の発展を物語る、世界的に重要な考古学的遺産です。