概要
トロイア遺跡は、現在のトルコ北西部に位置する古代都市の遺跡です。古代ギリシャの詩人ホメロスによる叙事詩『イーリアス』で描かれたトロイア戦争の舞台として世界的に知られ、1998年にユネスコ世界文化遺産に登録されました。紀元前3000年頃から長期間にわたり、エーゲ海、アナトリア、バルカン半島の文明が交錯する戦略的要衝として繁栄しました。
遺産の価値
トロイアの価値は、その考古学的な重要性と、文学・伝説における不朽の影響力にあります。シュリーマンによる発掘は、伝説上の都市が実在したことを示し、考古学の発展に大きく貢献しました。遺跡からは9つの主要な居住層が発見されており、数千年にわたる都市の変遷を明らかにしています。また、『イーリアス』を通じてトロイの木馬や英雄アキレスといった物語は、西洋文化に深く根付いています。
主な見どころ
遺跡内では、時代ごとに築かれた城壁や住居跡など、各時代の都市の姿を垣間見ることができます。
| 発見・遺構 | 特徴 |
|---|---|
| 9つの主要な居住層 | 紀元前3000年から紀元500年頃までの都市の発展と衰退の歴史を示す層。 |
| シュリーマンの発掘 | ドイツの考古学者ハインリヒ・シュリーマンによる発掘で、トロイア戦争の伝説が史実に基づく可能性を示唆した。 |
| 城壁と門 | 各時代の防御施設。特にトロイア第VI層の堅固な城壁が有名。 |
世界遺産登録基準
- (ii) エーゲ海、アナトリア、バルカン半島という異なる文明間の交流を物語る、考古学的発見において顕著な見本である。
- (iii) ホメロスの『イーリアス』に代表される文学作品を通じて、世界の芸術や文化に多大な影響を与え続けている文化的伝統の顕著な見本である。
- (vi) ホメロスの『イーリアス』によって不滅のものとなったトロイア戦争という歴史的出来事と、顕著な普遍的意義を持つ出来事や生きた伝統、思想、信仰、芸術・文学的作品と、直接または明白に関連するもの。