デルフィの考古遺跡の写真

デルフィの考古遺跡

デルフィの考古遺跡とは

デルフィの考古遺跡は、ギリシャ中部のパルナッソス山の麓に広がる古代ギリシャの聖域です。1987年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。太陽神アポロンの神託(神のお告げ)が行われる地として、古代ギリシャ世界において絶大な権威を誇り、「世界のへそ(オンファロス)」と信じられていました。個人から都市国家に至るまで、あらゆる人々が戦争、植民、結婚などの重要な決定に際して神託を求め、デルフィはギリシャ世界の宗教的・文化的な中心地として繁栄しました。

神託の聖地としての価値

デルフィの価値は、その壮大な自然景観と調和した聖域が、古代ギリシャの人々の精神的世界と深く結びついていた点にあります。その普遍的価値は以下の通りです。

  • 宗教的・政治的中心地: デルフィの神託は、ギリシャの都市国家間の関係や政治的決定に大きな影響を与え、ギリシャ世界の統一と秩序の維持に貢献しました。
  • ギリシャ文化の集積地: 各都市国家は、神託への感謝を示すために「宝庫」と呼ばれる小神殿を建て、彫刻や奉納品を捧げました。これにより、デルフィは古代ギリシャ芸術の粋が集まる美術館のような場所となりました。

世界遺産登録基準

デルフィは、その卓越した普遍的価値から、以下の5つの基準を満たすと評価されています。

  • 登録基準(i): 「デルフィの御者」像など、古代ギリシャ美術の傑作を数多く生み出した芸術的中心地である。
  • 登録基準(ii): 聖域の配置や建築様式は、古代ギリシャ世界において規範的な影響力を持っていた。
  • 登録基準(iii): 古代ギリシャの宗教と思想の中心地として、失われた文明の類まれな証拠である。
  • 登録基準(iv): 壮大な自然環境の中に築かれた、他に類を見ない構成を持つ聖域の顕著な見本である。
  • 登録基準(vi): 古代世界において最も重要な神託の地として、人類の歴史における普遍的な価値を持つ出来事や信仰と直接的に関連している。

主な遺跡

遺跡 特徴
アポロン神殿 聖域の中心に位置し、巫女「ピュティア」が神託を授けた場所。現在は基礎と数本の柱が残るのみです。
アテナイ人の宝庫 マラトンの戦いの勝利を記念してアテナイが奉納した宝庫。完全に復元されています。
デルフィ劇場 最大5000人を収容できた古代劇場。聖域と周囲の絶景を一望できます。
競技場(スタディオン) 4年ごとに開催されたピュティア競技会のための競技場。保存状態が非常に良いことで知られます。
アテナ・プロナイアの聖域 円形建築「トロス」が象徴的な、アテナ女神を祀る神域。デルフィで最も美しい場所の一つです。

パルナッソス山の荘厳な自然に抱かれたデルフィの遺跡は、古代の人々が感じた神々の存在と宇宙の中心としての威厳を、今なお訪れる人々に感じさせます。

デルフィの考古遺跡の基本情報

                         
国名 ギリシャ共和国
世界遺産の名称 デルフィの考古遺跡
遺産の種類 文化遺産
登録年 1987
拡張・範囲変更
危機遺産
危機遺産登録期間
登録基準 (ⅰ)(ⅱ)(ⅲ)(ⅳ)(ⅵ)
備考
範囲(ヘクタール)51.04
地図

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