テンブレーケ神父の水道橋水利施設とは
テンブレーケ神父の水道橋水利施設は、16世紀にメキシコ中央高原に建設された壮大な水利システムです。フランシスコ会のテンブレーケ神父の指揮のもと、ヨーロッパの水道技術とメソアメリカ先住民の伝統的な知識・労働力が融合して生まれました。全長48km以上に及ぶこの施設は、2015年に世界文化遺産に登録されました。
世界遺産としての価値
登録基準
- (i) 人類の創造的才能を表す傑作である。
- (ii) ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すものである。
- (iv) ある建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例である。
建築技術と文化的融合の傑作
この水道橋の価値は、その卓越した建築技術にあります。特に最も高いアーチは高さ38.75mにも達し、当時の技術水準の高さを物語っています。また、ローマ水道の技術を基礎としながらも、現地の材料や日干し煉瓦(アドベ)を用いるなど、異なる文化の交流と融合を示す歴史的建造物としても高く評価されています。
水道橋の概要
この水利施設は、イダルゴ州とメヒコ州にまたがって建設され、周辺の集落や農地に水を供給する重要な役割を果たしました。その構造の中でも特に注目されるのが、谷を越えるために架けられたアーチ橋です。
構造名 | 特徴 |
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サンティアゴ・テペヤワルコのアーチ群 | 高さ38.75m、長さ904mに及ぶ最も壮大な部分。優美なアーチが連なる。 |
テペフアカン・デ・ゲレロのアーチ | 堅固な石造りのアーチ構造が特徴。 |
シエラ・デ・アトリスコのアーチ | 山岳地帯の地形を巧みに利用して架けられている。 |
この水道橋は、単なるインフラ施設ではなく、異なる文化が見事に融合して生まれた、人類の創造性の記念碑と言えます。