隊商都市ウワダン、シンゲッティ、ティシット、ウワラタとは
隊商都市ウワダン、シンゲッティ、ティシット、ウワラタは、モーリタニアのサハラ砂漠に点在する歴史的な集落(クサール)群です。1996年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。これらの都市は、かつてサハラ砂漠を横断する隊商交易の重要な中継地として繁栄し、イスラム文化とサハラ交易の歴史を今に伝える貴重な遺産です。
世界遺産登録基準
- (iii) サハラ地域における隊商交易に支えられた伝統的な遊牧民文化が、定住生活へと移行していく過程を示す、現存する優れた証拠である。
- (iv) 厳しい砂漠環境に適応した、コンパクトな防衛的集落の建築様式を示す顕著な見本である。
- (v) 砂漠化の進行という不可逆的な変化にさらされながらも、数世紀にわたる伝統的な生活様式を伝える集落の顕著な見本である。
遺産の概要と価値
これらの都市は、11世紀から12世紀にかけて築かれ、サハラ砂漠の南北を結ぶ塩や金の交易路の要衝として栄えました。イスラム学の中心地でもあり、特にシンゲッティには多くの貴重な古文書を所蔵する私設図書館が残されています。厳しい砂漠気候に適応した石と日干し煉瓦による建築様式が特徴で、迷路のような路地やモスク、中庭を持つ家屋が密集する都市景観は、当時の生活を色濃く反映しています。今日、これらの都市は砂漠化の脅威に直面していますが、サハラにおける文化交流の歴史を物語る生きた遺産として重要な価値を持っています。
主要な都市と特徴
| 都市名 | 主要遺跡 | 特徴 |
|---|---|---|
| ウワダン | 古い城壁と住宅 | 最も早くに設立された隊商交易の拠点の一つ。 |
| シンゲッティ | シンゲッティのモスク | イスラム教の第七の聖地とされ、多くの古文書を所蔵する。 |
| ティシット | 古い住宅 | 独特の装飾が施された石造りの建築様式で知られる。 |
| ウワラタ | 古い城壁と住宅 | 壁画で装飾された家屋など、独自の芸術文化を持つ。 |