概要
「リュウゼツランの景観とテキーラ村の古式産業施設群」は、メキシコのハリスコ州にある世界文化遺産です。テキーラ火山の麓からリオ・グランデ川の渓谷にかけて広がる約3万5千ヘクタールの地域に、青みがかったリュウゼツラン(アガベ・アスール)の畑と、テキーラ、アマティタン、エル・アレナルといった町にある歴史的なテキーラ蒸留所(ファブリカ)群が含まれます。2000年以上にわたるリュウゼツランの栽培と、17世紀に始まった蒸留酒テキーラの生産が育んだ独特の文化的景観として、2006年に登録されました。
リュウゼツランとテキーラ生産の文化
この遺産は、リュウゼツランという植物が人間の生活といかに深く結びついてきたかを物語っています。先住民たちは古くからリュウゼツランを発酵させてプルケという醸造酒を造っていましたが、スペイン人が蒸留技術をもたらしたことでテキーラが誕生しました。広大なリュウゼツラン畑の景観、伝統的なレンガ窯でリュウゼツランを蒸し焼きにする光景、そして歴史ある蒸留所の建物群は、メキシコの国民的アイデンティティと深く結びついた文化的伝統の生きた証です。
世界遺産登録基準
- (ii) 先住民のリュウゼツラン発酵文化と、ヨーロッパの蒸留技術という異なる文化の融合を示す。
- (iv) リュウゼツランの栽培とテキーラ生産が、広大な文化的景観を形成した顕著な例である。
- (v) リュウゼツランの栽培は、厳しい環境に適応した伝統的な土地利用の顕著な例である。
- (vi) テキーラに関連する文化、特に音楽や舞踊、食文化は、メキシコの地域的・国民的アイデンティティと強く結びついている。