ロルシュの修道院遺跡とは
ロルシュ修道院は、8世紀にフランク王国のカール大帝の庇護のもとで設立された、カロリング朝時代を代表する修道院です。当時、ヨーロッパにおけるキリスト教文化と学問の中心地として絶大な影響力を誇りました。現存する建造物は少ないものの、特に「王の門(Königshalle)」はカロリング朝建築の希少な作例として極めて価値が高く、1991年に世界文化遺産に登録されました。
世界遺産登録の理由
この遺産は、以下の登録基準を満たしています。
- 登録基準(iii): 全盛期のロルシュ修道院は、中世初期のキリスト教社会の精神的・文化的な中心地であり、その文化的伝統を伝える貴重な証拠です。
- 登録基準(iv): 現存する「王の門」は、古代ローマ建築に範をとったカロリング朝ルネサンス様式を完璧に体現しており、建築史上、他に類を見ない重要な建造物です。
主な見どころ
- 王の門(Königshalle / Torhalle): 凱旋門を思わせる三連アーチと、赤と白の砂岩が織りなす幾何学模様の壁面が特徴。その正確な用途は今なお謎に包まれていますが、カロリング朝の建築様式を今に伝える唯一無二の遺構です。
- 修道院の遺構: 広大な敷地には、かつての大聖堂の基礎部分などが残されており、往時の規模を偲ぶことができます。
- ロルシュ薬局方: この修道院で編纂された有名な医学書。現在はユネスコの「世界の記憶」にも登録されています。
遺産の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 登録名称 | Abbey and Altenmünster of Lorsch |
| 所在地 | ドイツ連邦共和国 ヘッセン州 |
| 登録年 | 1991年 |
| 登録基準 | (iii), (iv) |