イスチグアラストとタランパヤ自然公園の写真

イスチグアラストとタランパヤ自然公園

イスチグアラスト/タランパジャ自然公園群とは

アルゼンチンのサン・フアン州とラ・リオハ州にまたがる「イスチグアラスト/タランパジャ自然公園群」は、2000年にユネスコの世界自然遺産に登録されました。この地域は、まるで別の惑星を思わせるような壮大な景観と、古生物学的に極めて重要な化石群が発見されることで世界的に知られています。

イスチグアラスト州立公園は「月の谷(Valle de la Luna)」、タランパヤ国立公園は赤色の巨大な岩壁で知られ、両公園が一体となって地球の太古の歴史を今に伝えています。

世界遺産としての価値

登録基準 (viii):地球の歴史を物語る化石群

この自然公園群が世界遺産に登録された最大の理由は、登録基準(viii)「地球史の主要段階を示す顕著な見本」を満たしている点にあります。特に、ここから発見される化石群は、三畳紀(約2億4500万年前~2億800万年前)の陸上脊椎動物の進化を解明する上で、世界で最も完全な記録を提供しています。

恐竜時代の幕開けを知る上で欠かせない、初期の恐竜や哺乳類の祖先、古代植物の化石が数多く出土しており、地球の生命史における重要な一時期を垣間見ることができます。

壮大な自然景観

長い年月にわたる風雨の侵食によって創り出された独特の地形も、この遺産の大きな魅力です。赤褐色の巨大な断崖絶壁が続くタランパヤの渓谷や、灰色の粘土層が広がり奇岩が点在するイスチグアラストの荒野は、訪れる人々に大自然の力強さと美しさを感じさせます。

公園の概要と見どころ

地理と気候

アルゼンチンの中西部に位置し、アンデス山脈の麓に広がる乾燥した砂漠気候が特徴です。年間を通じて降水量は非常に少なく、夏は高温になります。この厳しい自然環境が、特異な景観と化石の保存に適した条件を生み出しました。

主な見どころ

公園内では、ガイド付きのツアーに参加して見どころを巡るのが一般的です。代表的なスポットには以下のような場所があります。

  • タランパヤ国立公園:高さ150メートルにも及ぶ赤い砂岩の巨大な壁が続く渓谷が圧巻です。インディオの岩絵(ペトログリフ)が残る場所もあります。
  • イスチグアラスト州立公園(月の谷):その名の通り、月面のような景観が広がるエリア。「潜水艦」「きのこ岩」「ボーリング場」など、自然が作り出したユニークな形の奇岩が点在しています。
  • 古生物学博物館:イスチグアラスト公園の入り口にあり、この地で発見された化石のレプリカや研究成果が展示されています。

観光と環境保全

この壮大な自然景観と科学的価値から、世界中から多くの観光客が訪れます。しかし、貴重な自然環境と化石資源を未来へ引き継ぐため、公園内の行動には厳しいルールが設けられています。決められたルートを外れることや、化石・岩石を持ち帰ることは固く禁じられており、訪問者一人ひとりの理解と協力が不可欠です。

イスチグアラストとタランパヤ自然公園の基本情報

                         
国名 アルゼンチン共和国
世界遺産の名称 イスチグアラストとタランパヤ自然公園
遺産の種類 自然遺産
登録年 2000
拡張・範囲変更
危機遺産
危機遺産登録期間
登録基準 (ⅷ)
備考
範囲(ヘクタール)275369
地図

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