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モロッコ文化遺産2004年登録

マザガン(アル・ジャディーダ)のポルトガル都市

モロッコ大西洋岸のマザガンは、16世紀ポルトガルの星形要塞と、モロッコ統治下で再生した多文化都市エル・ジャディーダを重ねて読む遺産です。軍事建築、交易、宗教建築、住民生活の変化から登録基準(ii)(iv)を整理します。

マサガン(アル・ジャジーダ)のポルトガル都市の写真

ESSENTIAL FACTS

基本情報と登録基準

登録年
2004年
登録基準
(2)・(4)
種類
文化遺産
国・地域
モロッコ

WHY IT MATTERS

この世界遺産について

基本情報と遺産の価値

ポルトガル都市マザガン(アル・ジャディーダ)は、モロッコの大西洋岸、カサブランカの南西約90キロメートルに位置します。2004年に登録基準(ii)と(iv)で世界文化遺産となり、登録面積は7.5ヘクタールです。現在の都市名はエル・ジャディーダで、世界遺産の名称に残るマザガンはポルトガル統治期の呼称です。海上交易の拠点として築かれた要塞都市が、支配の交代と住民構成の変化を経て、別の都市生活へ受け継がれた点が重要です。単に欧州式の城壁を見るのではなく、植民地支配、地域社会による再利用、宗教と商業の重なりを一つの歴史として捉えます。

ポルトガル要塞の成立

ポルトガルは16世紀初頭、大西洋航路と沿岸交易を支える拠点としてマザガンを整備しました。1514年にはフランシスコ・デ・アルーダとディオゴ・デ・アルーダが最初の城塞を築き、1541年から1548年にかけてベネデット・ダ・ラヴェンナ、ジョアン・リベイロ、フアン・カスティーリョらの計画で防備が拡張されました。火器の普及に対応する低く厚い城壁、稜堡、射線を意識した星形の構成は、初期ルネサンス期の軍事技術を示します。ただし、その技術的特徴を称賛するだけでなく、要塞が領土支配と交易統制の装置でもあったことを明記する必要があります。

1769年以後の都市再生

ポルトガル勢力は1769年にマザガンを離れ、要塞都市はいったん放棄されました。19世紀半ばになるとアル・ジャディーダとして再生され、ムスリム、ユダヤ教徒、キリスト教徒を含む人々が暮らす商業都市となりました。この変化は、建築が一つの時代の記念物として凍結されたのではなく、新しい社会の必要に応じて使い直されたことを示します。異なる信仰や出自の人々の存在は確認できますが、単純な調和の物語にせず、時期ごとの制度、権力関係、居住実態を資料に即して説明します。

城壁・貯水槽・宗教建築

登録範囲には城壁と稜堡、地下貯水槽、聖母被昇天教会などが残ります。教会にはマヌエル様式と後期ゴシックの要素が見られ、要塞内部の宗教空間と都市景観を形づくります。地下貯水槽は水を確保する実用施設であり、光が水面に反射する景観だけでなく、防備された都市を維持するインフラとして理解することが大切です。城壁上から港へ続く眺望、街路、住居、礼拝施設を関連づけると、軍事施設から生活都市へ変化した全体像が見えてきます。

登録基準(ii)と(iv)

登録基準(ii)は、16世紀から18世紀にかけてヨーロッパとモロッコの間で建築、技術、都市文化が交換されたことを評価します。登録基準(iv)は、ルネサンス期の設計思想を示す要塞都市の顕著な例であることを示します。(ii)を『文化交流』、(iv)を『火器時代の要塞都市』と対応させると整理しやすい一方、交流という語だけで植民地支配の非対称性を覆わないことが重要です。建築形式が移植され、その後に地域社会が用途と意味を変えてきた二段階を押さえます。

完全性・真正性と保全

城壁、稜堡、主要建築、街路構成は登録価値を読むためのまとまりを保っています。現在も人が暮らす都市であるため、建物の用途変更は継承の一部ですが、素材、規模、外観を損なう改変は真正性に影響します。港側の輪郭や要塞の見え方は、周辺の新築建物と高さにも左右されます。修理材料の適合性、歴史的構造の記録、住民生活の安全性、観光利用を同時に扱い、保存だけを理由に地域社会を排除しない管理が求められます。

世界遺産検定で覚えるポイント

国はモロッコ、登録年は2004年、登録基準は(ii)(iv)です。1514年の最初の城塞、1541年から1548年の拡張、1769年のポルトガル撤退、19世紀半ばのアル・ジャディーダとしての再生を時系列で結びます。星形要塞、稜堡、地下貯水槽、聖母被昇天教会、マヌエル様式が主要語句です。『ポルトガル要塞だけ』ではなく、モロッコ統治下の多文化商業都市へ転換した点まで含めて答えられるようにします。

旅の計画と現地での見方

現地では、城壁の輪郭、稜堡と港の位置関係、地下貯水槽、宗教建築、生活街路を順に確認すると都市構造を理解できます。住居や礼拝の場は撮影用の背景ではありません。生活動線を妨げず、人物を無断で撮影せず、立入規制と礼拝時の案内に従います。開館状況、工事、入場方法、交通、天候、治安は変動するため、訪問直前にモロッコの公的機関、管理者、日本の外務省などの最新情報を確認してください。

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