フェズの旧市街とは
フェズの旧市街(メディナ)は、モロッコ北部に位置する古都で、1981年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。8世紀末にイドリース朝によって建設されて以来、モロッコ初のイスラム王朝の都として、また西イスラム世界の精神的・文化的中心地として繁栄しました。迷路のように入り組んだ路地が特徴の旧市街は、中世の姿をそのまま残しており、「生きた博物館」とも称されます。
世界遺産登録基準
- (ii) 地中海地域、特にアンダルシアと東方のイスラム文化が融合し、建築、都市計画、産業技術において独自の様式を生み出した。
- (v) 現代化の圧力にさらされながらも、中世から続く伝統的な土地利用と生活様式を維持している顕著な例である。
遺産の概要と価値
フェズの旧市街は、世界最大級の歩行者専用区域として知られ、無数の細い路地が網の目のように広がっています。その中には、モスク、マドラサ(神学校)、リヤド(中庭のある邸宅)、スーク(市場)、そして伝統的な皮なめし工房(タンネリ)などが密集しています。特に重要なのが、859年に創建されたカラウィーン・モスクとそれに付属する大学です。この大学は、現存する世界最古の大学とされ、イスラム世界の学問の中心として多くの学者を輩出しました。旧市街の景観と、そこで営まれる伝統的な職人たちの営みは、フェズが長きにわたり培ってきた豊かな文化遺産を物語っています。
主要な建造物
| 遺跡名 | 特徴 |
|---|---|
| カラウィーン大学とモスク | 859年創設。現存する世界最古の大学とされ、壮麗な建築様式を持つ。 |
| ブー・イナニア・マドラサ | 14世紀に建設されたマリーン朝建築の最高傑作の一つ。精緻な装飾が特徴。 |
| タンネリ(皮なめし地区) | 中世から続く伝統的な手法で皮を染色する工房群。独特の景観と匂いで知られる。 |