ミディ運河とは
フランス南部を流れ、地中海と大西洋を結ぶ全長240kmに及ぶ大運河です。17世紀、ルイ14世の治世下にピエール=ポール・リケの設計・監督のもと建設されました。当時の土木技術の粋を集めた画期的なプロジェクトであり、近代ヨーロッパにおける最も優れた公共事業の一つとされています。
遺産の価値と登録基準
ミディ運河の価値は、その卓越した技術力と芸術的な美しさの融合にあります。閘門(ロック)、水道橋、トンネル、貯水池といった構造物が、周辺の景観と見事に調和しており、産業革命期における技術的傑作として高く評価されています。
- 登録基準(i): 技術的な創造性だけでなく、景観との調和という美的配慮においても人類の創造的才能を示す傑作である。
- 登録基準(ii): ヨーロッパの運河建設技術の発展に大きな影響を与え、産業革命の先駆けとなった。
- 登録基準(iv): 17世紀における最先端の技術力を示す、歴史上重要な建造物である。
- 登録基準(vi): ヨーロッパの近代化という普遍的な出来事と直接的に関連している。
技術的傑作の数々
運河沿いには、当時の技術力の高さを証明する多くの独創的な構造物が見られます。
| 構造物名 | 特徴 |
|---|---|
| フォンセランヌの9つの閘門 | ベジエ近郊にある、9つの連続する閘門(現在は7つが使用)。船が21.5mの高低差を克服するための壮大な階段状の施設。 |
| マルパストンネル | 世界で初めて運河のために掘られた丘を貫通するトンネル。全長165m。 |
| オルブ水道橋 | オルブ川を渡るために19世紀に建設された水道橋。運河が川の上を通過する景観は圧巻。 |
| サン・フェレオル貯水池 | 運河の最高地点に水を供給するために作られた巨大な人造湖。リケの独創的な給水システムの心臓部。 |
概要
| 所在地 | フランス、オクシタニー地域圏 |
| 登録年 | 1996年 |
| 登録基準 | (i), (ii), (iv), (vi) |