ブラジリアとは
ブラジリアは、1956年から1960年にかけてブラジルの内陸部に建設された計画都市であり、現在のブラジルの首都です。ジュセリーノ・クビチェック大統領の主導のもと、都市計画家ルシオ・コスタが設計した都市プランに基づき、建築家オスカー・ニーマイヤーが主要な建物を設計しました。20世紀の都市計画とモダニズム建築の理想を具現化した都市として、建設からわずか27年後の1987年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。
遺産の価値
ブラジリアの価値は、都市全体が一つの芸術作品として設計され、20世紀中盤の都市計画と建築の理念を大規模に実現した点にあります。
- 革新的な都市計画: 上空から見ると飛行機や鳥の形に見える都市プランは、機能別にゾーニング(住居、行政、商業など)されており、当時の都市計画における画期的な試みでした。
- モダニズム建築の傑作: オスカー・ニーマイヤーが設計した国会議事堂や大聖堂などは、コンクリートを大胆に用いた曲線的なデザインが特徴で、モダニズム建築の象徴とされています。
世界遺産登録基準
- 登録基準(i): 調和のとれた都市設計と、その中核をなす革新性と創造性に富んだ建築群が、都市計画史におけるユニークな芸術的偉業であることが評価されました。
- 登録基準(iv): 20世紀後半の未来都市の理想を体現した、モダニズム都市計画の顕著な例であることが評価されました。
主な建築物
ブラジリアには、ニーマイヤーによる独創的なデザインの建築物が数多く点在し、都市の景観を特徴づけています。
| 建築物名 | 特徴 |
|---|---|
| 国会議事堂 | お椀を伏せた形の上院と、お椀型の衆議院、そして2本の高層ビルからなる、ブラジリアの象徴的建築です。 |
| メトロポリタン大聖堂 | 16本のコンクリート製の柱が天を突くように伸びる、王冠のような形をした独創的な大聖堂です。 |
| アルボラーダ宮殿 | 大統領官邸であり、優雅な柱のデザインが特徴的なニーマイヤーの初期の傑作です。 |
参考文献: UNESCO World Heritage Centre. “Brasilia”. https://whc.unesco.org/en/list/445