上スヴァネチアの概要
上スヴァネチアは、ジョージア北西部のコーカサス山脈に位置する山岳地帯です。中世から続く独特の景観と文化が評価され、1996年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。厳しい自然環境の中で外部からの侵攻を防ぐため、この地域には「コスキ」と呼ばれる石造りの塔が数多く建てられました。これらの塔と住居、教会が一体となった集落は、他に類を見ない文化的景観を形成しています。
主な構成資産
上スヴァネチアの遺産は、主にチャジャシ村に残る建造物群からなります。険しい山々に囲まれたこの地域では、村全体が要塞としての機能を持っていました。
- 防御塔(コスキ): 9世紀から12世紀にかけて建てられた石造りの塔。外敵の侵入を見張る監視塔や、籠城のための避難所として使われました。各家族が所有し、現在も200以上が現存しています。
- 伝統的住居: 防御塔に隣接して建てられた石造りの家屋。厳しい冬を越すため、1階部分が家畜小屋と居住空間を兼ねた構造になっています。
- 教会: 小規模ながら、内部には保存状態の良いフレスコ画が残されている教会が点在しています。
世界遺産登録基準
上スヴァネチアは、以下の基準を満たしたことが評価され、世界遺産に登録されました。
- (iv) 建築様式: 中世の山岳地帯における建築と景観の顕著な例であり、防御塔のある独特な集落形態は、その地域の経済的・文化的な生活様式を反映しています。
- (v) 土地利用: 厳しい自然環境に見事に適応した、伝統的な土地利用の傑出した見本です。
| 建造物 | 特徴 |
|---|---|
| 防御塔 | 中世に建てられた頑丈な石造りの塔。監視と防衛の役割を担った。 |
| 教会 | 美しいフレスコ画が特徴。地域の信仰の中心であった。 |
| 伝統的住居 | 石造りで、地域の生活様式を反映した機能的な構造を持つ。 |