ミケーネとティリンスの考古遺跡の写真

ミケーネとティリンスの考古遺跡

ミケーネとティリンスの考古遺跡とは

ギリシャのペロポネソス半島に位置するミケーネとティリンスは、紀元前15世紀から12世紀にかけて栄えたミケーネ文明を代表する考古遺跡です。ホメロスの叙事詩『イリアス』に登場するアガメムノン王の拠点として知られるミケーネと、強固な城壁で名高いティリンスは、ヨーロッパ文明の黎明期を物語る重要な遺産として、1999年にユネスコ世界文化遺産に登録されました。

遺産の価値と登録基準

これらの遺跡は、先史時代の建築技術の傑作であるとともに、古代ギリシャの政治・社会構造、芸術、そして神話の形成に大きな影響を与えました。特に、巨石を積み上げた「サイクロピアン(キュクロプス風)様式」の城壁は、当時の高度な土木技術を象徴しています。

  • 登録基準(i): ミケーネの「ライオン門」やアトレウスの宝庫(通称アガメムノンの墓)、ティリンスの城壁は、人類の創造的才能を示す傑作です。
  • 登録基準(ii): ミケーネ文明は、その後の古代ギリシャの建築や都市計画、芸術に多大な影響を与え、文化交流の重要な証拠とされています。
  • 登録基準(iii)(iv): これらの遺跡は、青銅器時代に地中海東部で栄え、その後消滅したミケーネ文明の軍事、経済、社会システムを物語る顕著な物証です。
  • 登録基準(vi): ホメロスの叙事詩『イリアス』や『オデュッセイア』と深く結びついており、2000年以上にわたり文学や芸術に影響を与え続けている普遍的な価値を持ちます。

主な構成資産

  • ライオン門: ミケーネの城塞への主たる入り口。三角形の楣石(まぐさいし)に彫られた2頭のライオンのレリーフが特徴的です。
  • アトレウスの宝庫(アガメムノンの墓): 巨大なドーム状の天井を持つ墳墓(トロス墓)。ミケーネ建築の最高傑作とされます。
  • ティリンスの城壁: 「巨人が建設した」と信じられたほどの巨大な石で築かれた城壁。内部には通路や貯蔵室が設けられています。
  • ミケーネとティリンスの宮殿跡: 「メガロン」と呼ばれる広間を中心とした複合的な宮殿建築の跡で、王の権力の中心地でした。

観光と保全

両遺跡はギリシャを代表する観光地であり、世界中から多くの観光客が訪れます。ギリシャ政府は、遺跡の風化や崩壊を防ぐため、継続的な修復・保存活動を行っており、この貴重な人類の遺産を未来の世代に伝える努力が続けられています。

ミケーネとティリンスの考古遺跡の基本情報

                         
国名 ギリシャ共和国
世界遺産の名称 ミケーネとティリンスの考古遺跡
遺産の種類 文化遺産
登録年 1999
拡張・範囲変更
危機遺産
危機遺産登録期間
登録基準 (ⅰ)(ⅱ)(ⅲ)(ⅳ)(ⅵ)
備考
範囲(ヘクタール)0
地図

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