グロス・モーン国立公園とは
グロス・モーン国立公園は、カナダのニューファンドランド島西部に位置する国立公園です。氷河が創り出したフィヨルドや断崖絶壁が連なる壮大な景観と、地球の内部構造が地上に露出した極めて珍しい地質学的特徴を併せ持っています。「大陸が移動する」というプレートテクトニクス理論の動かぬ証拠が見られる場所として、世界的に有名です。
世界遺産登録の経緯
公園内には、通常は地下深くにあるはずの地球のマントルの一部や海洋地殻(オフィオライト)が隆起し、むき出しになった「テーブルランド」が存在します。この地質学的な特異性と、氷河期に形成された雄大な自然美が評価され、1987年に登録基準(vii)と(viii)を満たして世界自然遺産に登録されました。
遺産の価値
この公園は、美しい景観と地球科学の生きた教科書としての価値を兼ね備えています。
- 類いまれな自然美(登録基準vii):海から垂直に切り立つ断崖に挟まれた淡水のフィヨルド「ウェスタン・ブルック・ポンド」の景観は、北欧のフィヨルドにも匹敵する美しさを誇ります。
- 地球史の重要な証拠(登録基準viii):プレートの衝突によって地表に現れたマントル物質は、地球の内部構造と大陸形成の謎を解き明かすための貴重な手がかりを提供しています。
主な見どころ
公園内では、地質学的な驚異と、氷河が削り出した絶景の両方を楽しむことができます。
| 見どころ | 説明 |
|---|---|
| テーブルランド | かんらん岩で構成された、植物がほとんど生えない赤茶けた台地。地球のマントルが露出している。 |
| ウェスタン・ブルック・ポンド | かつては海だったが氷河で入り口が塞がれ淡水化したフィヨルド。遊覧船からの眺めが人気。 |
| グロス・モーン山 | 公園の名前の由来となった標高806mの山。山頂からは壮大なパノラマが広がる。 |
グロス・モーン国立公園は、地球のダイナミックな営みを肌で感じることができる、世界でも類を見ない貴重な場所です。