オーストラリアの囚人収容所遺跡群の写真

オーストラリアの囚人収容所遺跡群

概要

オーストラリアの囚人収容所遺跡群は、18世紀から19世紀にかけて大英帝国がオーストラリアに建設した11の旧収容施設からなる世界文化遺産です。2010年に登録されました。これらの遺跡は、タスマニア州、ニューサウスウェールズ州、西オーストラリア州、そしてノーフォーク島に点在しており、大英帝国の植民地拡大政策と、囚人労働による国家建設という、オーストラリアの成り立ちの根幹をなす歴史を物語っています。

遺産の価値

この遺産群の価値は、大規模な囚人移送という世界的現象の物的な証拠であり、近代オーストラリア社会の形成に与えた影響を示している点にあります。

  • 歴史的価値: 1788年から約80年間にわたり、16万人以上の男女・子供の囚人がイギリスからオーストラリアへ送られました。彼らの労働力は、道路、橋、公共建築物などのインフラ整備に不可欠であり、植民地の基盤を築きました。これらの遺跡は、その過酷な歴史を今に伝える貴重な証言者です。
  • 建築と制度の証拠: 各遺跡は、懲罰、更生、労働といった、時代ごとの刑罰制度の変遷を反映した建築様式や施設配置を特徴としています。厳格な監視体制の刑務所から、広大な農場まで、多様な形態の収容所が含まれています。

主要な構成資産

全11の構成資産の中から、代表的なものをいくつか紹介します。

遺跡名 所在地 特徴
ポート・アーサー タスマニア州 「逃亡不可能な監獄」として知られた最も有名な流刑植民地跡。
フリーマントル刑務所 西オーストラリア州 囚人自身の労働によって建設され、1991年まで使用された刑務所。
ハイド・パーク・バラックス ニューサウスウェールズ州 シドニー中心部にあり、男性囚人のための宿舎として建設されたレンガ造りの建物。
ノーフォーク島キングストン・アーサーズ・ヴェイル歴史地区 ノーフォーク島 最も規律が厳しく、再犯を繰り返す囚人が送られた懲罰的な収容所跡。

世界遺産登録基準

この遺産は、以下の基準を満たしたと見なされ、世界遺産に登録されました。

  • (iv) 植民地支配の拡大と、懲罰・更生に関するヨーロッパの思想が、どのように囚人の労働を通じて実現されたかを示す建造物群の顕著な見本である。
  • (vi) 18世紀から19世紀にかけて行われた大規模な囚人移送という、人類史における重要な段階を物語る、類いまれな証拠である。

オーストラリアの囚人収容所遺跡群の基本情報

                         
国名 オーストラリア連邦
世界遺産の名称 オーストラリアの囚人収容所遺跡群
遺産の種類 文化遺産
登録年 2010
拡張・範囲変更
危機遺産
危機遺産登録期間
登録基準 (ⅳ)(ⅵ)
備考
範囲(ヘクタール)1502.51
地図

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