タスマニア原生地帯の写真

タスマニア原生地帯

概要

タスマニア原生地帯は、オーストラリア南東に浮かぶタスマニア島のおよそ20%を占める広大な自然保護地域です。1982年に世界遺産に登録され、その後範囲が拡大されました。この地域は、氷河期から手つかずで残る温帯雨林や山岳地帯、数万年前に遡る先住民の考古遺跡が共存しており、その独特な自然環境と文化的価値から複合遺産とされています。

遺産の価値

タスマニア原生地帯の価値は、太古の地球の姿を今に伝える貴重な自然と、そこに刻まれた人類の歴史が融合している点にあります。

  • 生態系の多様性: ゴンドワナ大陸の痕跡を残す温帯雨林が広がり、タスマニアデビルやウォンバットといった多くの固有種が生息する、生物多様性の宝庫です。
  • 地質学的な重要性: 氷河によって削られた鋭い山々や深い湖など、氷河期の地形が良好な状態で保存されており、「地球の歴史の縮図」とも言われます。
  • 文化的な価値: 洞窟からは3万5千年前に遡る壁画や石器が発見されており、氷河期に人類が暮らしていた痕跡を示す世界的に重要な考古遺跡が含まれています。

主な景観

広大なエリアには、多様で美しい景観が広がっています。

景観 説明
クレイドル山 標高1,545mの鋭い岩峰が特徴的な山。セント・クレア湖まで続く「オーバーランド・トラック」は世界的に有名なトレッキングコースです。
セント・クレア湖 オーストラリア最深の氷河湖。手つかずの自然に囲まれた神秘的な景観が広がります。
フランクリン・ゴードン・ワイルドリバーズ国立公園 原生的な河川景観が広がり、ラフティングなどのアクティビティが楽しめます。

世界遺産登録基準

この遺産は、以下の基準を満たしたと見なされ、世界遺産に登録されました。

  • (iii) 氷河期の狩猟採集民の暮らしを伝える、世界で最も豊かな遺跡群の一つを有する。
  • (iv) 氷河、カルスト、沿岸など、地球の進化の過程を示す地形の顕著な見本である。
  • (vi) 人類が厳しい氷河期の環境に適応した歴史を物語る、世界的に重要な文化的景観を示している。
  • (vii) 険しい山々、温帯雨林、原生の河川が織りなす、類いまれな自然美と壮大な景観を呈している。
  • (viii) 地球の歴史の主要段階を示す地質学的特徴を代表する、傑出した見本である。
  • (ix) ゴンドワナ大陸に起源を持つ動植物相を含み、生態系の進化を示す顕著な見本である。
  • (x) タスマニアデビルをはじめとする多くの固有種や絶滅危惧種が生息する、生物多様性の保全上、極めて重要な地域である。

タスマニア原生地帯の基本情報

                         
国名 オーストラリア連邦
世界遺産の名称 タスマニア原生地帯
遺産の種類 複合遺産
登録年 1982
拡張・範囲変更 1989
危機遺産
危機遺産登録期間
登録基準 (ⅲ)(ⅳ)(ⅵ)(ⅶ)(ⅷ)(ⅸ)(ⅹ)
備考
範囲(ヘクタール)1584233
地図

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