ティヤの石碑群とは
ティヤは、エチオピアの首都アディスアベバの南に位置する、謎に満ちた石碑(ステラ)群が残る考古遺跡です。10世紀から15世紀頃に造られたと考えられている約40基の石碑が点在しており、その多くに剣や人型、謎めいた記号などが刻まれています。1980年にユネスコの世界文化遺産に登録されましたが、誰が、何のためにこれらを造ったのかは未だ解明されていません。
遺産の価値と登録基準
ティヤの石碑群は、エチオピアの先史時代における巨石文化の顕著な例であり、その彫刻は当時の社会や信仰を知る上で貴重な手がかりとなります。その独特な芸術表現と考古学的な重要性が評価されています。
- 登録基準(i):簡潔ながらも表現力豊かな彫刻が施された石碑は、当時の文化が生み出した独特な芸術的傑作です。
- 登録基準(iv):エチオピアの巨石時代を代表する遺跡であり、その葬送儀礼や社会構造を理解する上で重要な考古学的遺構です。
石碑の特徴
ティヤの石碑は高さ最大5mに達し、その表面には様々なシンボルが浮き彫りにされています。主な特徴は以下の通りです。
- 剣の彫刻:多くの石碑に剣が描かれており、埋葬された人物の地位や戦士としての功績を示していると考えられています。剣の数やデザインは石碑ごとに異なります。
- 象徴的な記号:人型や乳房を模したとされる彫刻、円や線で構成された幾何学的な模様など、意味が解明されていないシンボルが多く見られます。
- 埋葬との関連:石碑群の周辺からは人骨が発掘されており、この場所が有力者たちの墓地であった可能性が高いとされています。
考古学的意義
ティヤの石碑群は、文字記録が乏しい時代のエチオピア文化を解明するための重要な鍵を握っています。現在も、これらの石碑が持つ意味や、石碑を築いた人々の文化について、考古学者による調査と研究が続けられています。
参考文献
「ティヤ」.UNESCO. https://whc.unesco.org/ja/list/12