古代都市「タウリカのヘルソネソス」とそのホーラとは
ウクライナのクリミア半島南西部に位置する古代遺跡で、2013年に世界文化遺産に登録されました。紀元前5世紀に古代ギリシャ人によって建設された植民都市ヘルソネソスの遺跡と、その周辺に広がる「ホーラ」と呼ばれる古代の農地景観から構成されています。ギリシャ、ローマ、ビザンティン帝国へと続く約2000年間の都市の歴史と土地利用の変遷を伝える貴重な遺跡です。
世界遺産登録基準
- (2) ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
- (5) ある文化(または複数の文化)を代表する伝統的集落、あるいは陸上ないし海上利用の際立った例。もしくは特に不可逆的な変化の中で存続が危ぶまれている人と環境の関わりあいの際立った例。
主な遺跡
都市遺跡には、ギリシャ劇場、ローマ時代の城壁、初期キリスト教の聖堂(バシリカ)などが含まれます。特に、格子状に区画されたホーラは、古代のブドウ栽培と土地分割の様子を伝える非常に保存状態の良い例として価値が高いです。
| 遺跡 | 説明 |
|---|---|
| 都市遺跡 | 劇場、聖堂、住居跡など、都市の機能を示す建造物群。 |
| ホーラ(農地) | 都市を取り巻くように広がる古代の農地。ブドウ畑の区画が残る。 |
| ゼノンの塔 | 防御施設の一部であり、都市のランドマーク。 |
危機遺産
2014年のロシアによるクリミア併合以降、遺産の管理状況が懸念されていました。さらに2022年からのウクライナ侵攻による脅威の増大を受け、2023年にユネスコは本遺産を危機遺産リストに登録しました。