プランバナン寺院遺跡群とは
インドネシアのジャワ島中部に位置する、9世紀に古マタラム王国によって建設された国内最大級のヒンドゥー教寺院群です。1991年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。「ロロ・ジョングラン」の愛称でも知られ、高くそびえる尖塔と、壁面を飾る精緻なレリーフが特徴です。
世界遺産登録基準
この遺産は、以下の基準を満たしたと評価されました。
- 基準(i): ヒンドゥー教の神々を称える壮大な建築と、卓越した彫刻芸術が融合した、人間の創造的才能の傑作である。
- 基準(iv): 東南アジアにおけるヒンドゥー教寺院建築の一つの頂点を示す、極めて重要な例である。
建築とデザイン
寺院群は、ヒンドゥー教の主要三神であるシヴァ(破壊と創造の神)、ヴィシュヌ(維持の神)、ブラフマー(創造の神)を祀る3つの主祠堂を中心に構成されています。最も大きく中央に位置するのがシヴァ神殿で、その高さは約47mに達します。これらの主祠堂の前には、それぞれの神の乗り物(ヴァーハナ)である聖牛ナンディ、神鳥ガルーダ、聖鳥ハンサを祀る小祠堂が配置されています。
ラーマーヤナのレリーフ
シヴァ神殿とブラフマー神殿の回廊には、古代インドの大叙事詩「ラーマーヤナ」の物語を描いた見事なレリーフが連続して刻まれています。ラーマ王子とシータ妃の物語を生き生きと描いたこの浮き彫りは、プランバナンの芸術性を象徴する傑作とされています。
観光と保全
ボロブドゥールと並ぶジャワ島観光のハイライトであり、多くの観光客が訪れます。過去の地震による損傷からの修復作業が続けられており、遺跡の保護と研究が継続的に行われています。夜にはライトアップされ、ラーマーヤナの野外舞踊劇が上演されることもあります。
主要な寺院構成
| 主神祠堂 | ヴァーハナ(乗り物)祠堂 |
|---|---|
| シヴァ神殿(中央・最大) | ナンディ(聖牛)神殿 |
| ヴィシュヌ神殿(北側) | ガルーダ(神鳥)神殿 |
| ブラフマー神殿(南側) | ハンサ(聖鳥)神殿 |