スーサとは
スーサは、イラン南西部のフーゼスターン州、ザーグロス山脈の麓に位置する古代都市遺跡です。2015年に世界文化遺産に登録されました。紀元前5千年紀から紀元13世紀まで、約6000年以上にわたって人々が住み続けたこの都市は、エラム王国、アケメネス朝ペルシア、パルティアなど、数多くの文明の中心地として栄えました。異なる文化が重なり合って形成された重層的な遺跡が特徴です。
世界遺産登録基準
- (i) アケメネス朝のダレイオス1世が建設したアパダーナ(謁見の間)は、建築史上の傑作とされています。
- (ii) エラム、ペルシア、メソポタミアなど、複数の文化の影響を受け、独自の建築様式や都市形態を生み出した文化交流の証拠です。
- (iii) 長期間にわたり存続したエラム王国やアケメネス朝といった、消滅した文明や文化的伝統を伝える顕著な証拠です。
- (iv) 支配者が変わるごとに異なる機能を持つ宮殿や行政施設が建設され、古代における都市計画の発展段階を示す優れた例です。
遺産の価値
スーサの価値は、一つの場所に数千年分の異なる文明の痕跡が積み重なっている点にあります。エラム王国の首都として、またアケメネス朝の冬の都として、古代オリエント史において極めて重要な役割を果たしました。『旧約聖書』のエステル記の舞台としても知られています。宮殿跡、神殿、住居跡など多様な遺跡が、この都市の豊かな歴史と文化の多様性を物語っています。
主要な時代の遺跡
時代 | 主な遺跡・特徴 |
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エラム王国時代 | 都市の中心にあったとされるアクロポリス(城砦)や神殿の遺構。 |
アケメネス朝時代 | ダレイオス1世によって建設された壮大な宮殿(アパダーナ)の跡。 |
パルティア・サーサーン朝時代 | 都市が再建され、キリスト教コミュニティも存在した時代の遺構。 |