概要
バムとその文化的景観は、イラン南東部のケルマーン州に位置する歴史的な城塞都市です。特に「アルゲ・バム」として知られる城塞は、日干しレンガで造られた世界最大級の建築物群です。その歴史は紀元前6世紀に遡り、シルクロードの重要な交易拠点として栄えました。この独特な文化的景観が評価され、2004年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。
世界遺産登録基準
- (ii) 泥レンガを用いた建築技術と都市計画は、中央アジアの砂漠地帯における都市建設の優れた手本を示しています。
- (iii) シルクロード上の重要な交易拠点として、数世紀にわたる文化的・商業的交流の発展を物語る顕著な証拠です。
- (iv) アルゲ・バムは、防御機能を持つ居住区と城塞からなる要塞都市の優れた例です。
- (v) カナート(地下水路)を用いた灌漑システムに支えられた、砂漠環境における人間の居住と土地利用の顕著な見本です。
主な施設
バム城塞は、複数の層からなる防御構造を持ち、内部には支配者層の居城、兵舎、住宅、商業施設、公共施設などが計画的に配置されていました。
施設 | 特徴 |
---|---|
バム城塞(アルゲ・バム) | 世界最大の日干しレンガ建築物群であり、都市の象徴。 |
商業エリア | 古代から続く市場(バザール)や商店が集まる区域。 |
公共施設 | モスクや学校など、社会生活に必要な施設が含まれる。 |
歴史と保全
バムはシルクロードの要衝として、古代から中世にかけて交易と文化の中心地でした。しかし、2003年12月に発生した大地震により、城塞の大部分が壊滅的な被害を受けました。このため、世界遺産登録と同時に「危機にさらされている世界遺産(危機遺産)」にもリストされました。その後、ユネスコや国際社会の支援のもとで大規模な修復・復興作業が進められ、2013年に危機遺産リストから解除されました。