レーティッシュ鉄道アルブラ線・ベルニナ線と周辺の景観とは
「レーティッシュ鉄道アルブラ線・ベルニナ線と周辺の景観」は、スイスのグラウビュンデン州を走る2つの鉄道路線とその沿線の文化的景観を対象とする世界遺産で、2008年に登録されました。この鉄道は、20世紀初頭にアルプスの厳しい自然環境を克服して建設されたもので、高度な土木技術と壮大な自然景観が見事に調和している点が評価されています。アルブラ線とベルニナ線は、現在も観光列車「氷河特急」や「ベルニナ特急」が走り、世界中の旅行者を魅了しています。
世界遺産登録基準
- 登録基準(ii): アルプスの隔絶された地域を外部世界と結びつけ、山岳地帯の社会経済的発展に大きく貢献した、人間と自然の交流を示す顕著な例である。
- 登録基準(iv): 20世紀初頭における鉄道建設技術の傑出した成果であり、高架橋やトンネルなどの構造物がアルプスの景観と完璧に調和している。
遺産の価値
この遺産の価値は、人間の技術力とアルプスの雄大な自然美との調和にあります。
- 自然美: 列車は氷河、湖、深い谷、森林など、刻々と変化するアルプスの絶景の中を走ります。車窓からの眺めは、まるで絵画のようです。
- 技術的偉業: 急勾配と複雑な地形を克服するため、ループ線や多くのトンネル、石造りの高架橋が建設されました。これらの構造物自体が、景観の一部として美しくデザインされています。
路線の概要
世界遺産に登録されているのは、トゥージスからイタリアのティラーノまでを結ぶ全長122kmの区間です。
- アルブラ線: 標高差を克服するための巧みなループトンネルや、高さ65mを誇るランドヴァッサー橋など、ダイナミックな構造物で知られます。
- ベルニナ線: アルプスを南北に縦断し、ヨーロッパの鉄道で最も標高の高い地点(オスピツィオ・ベルニナ駅、2,253m)を通過します。360度のループが特徴のブルージオ橋は特に有名です。
主要な構造物
路線のハイライトとなる土木技術の傑作が数多く存在します。
構造物名 | 路線 | 特徴 |
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ランドヴァッサー橋 | アルブラ線 | 断崖から直接トンネルへと続く、美しい6連アーチの石橋。 |
アルブラトンネル | アルブラ線 | アルブラ峠の地下を貫く、全長約5.9kmのトンネル。 |
ブルージオのオープンループ橋 | ベルニナ線 | 急勾配を克服するために作られた360度の螺旋状の石橋。 |