概要
ポルトヴェーネレ、チンクエ・テッレと小島群は、イタリア北西部リグーリア海岸に位置する世界遺産です。歴史的な港町ポルトヴェーネレ、「5つの土地」を意味するチンクエ・テッレの5つの村、そして沖合に浮かぶパルマリア、ティーノ、ティネットの3つの島々から構成されます。この地域は、険しい断崖絶壁の海岸線と、そこに人々が築き上げた色鮮やかな町並みや段々畑が織りなす、壮麗な「文化的景観」が特徴です。
文化的景観としての価値
この遺産の核心的価値は、人間が1000年以上にわたって厳しい自然環境と共存し、持続可能な生活を営んできた歴史そのものにあります。人々は急斜面を切り拓いて石垣を積んだ段々畑(テラッツァメンティ)を築き、ブドウやオリーブを栽培してきました。断崖に寄り添うように建てられたカラフルな家々は、限られた土地を有効活用する知恵の結晶です。この人間と自然の相互作用によって生み出された独特の景観が、世界的に評価されています。
主な見どころ
- チンクエ・テッレ: 海に面した5つの村(モンテロッソ・アル・マーレ、ヴェルナッツァ、コルニリア、マナローラ、リオマッジョーレ)の総称。色とりどりの家々が斜面に密集する風景は、この地域を象徴する絶景です。
- ポルトヴェーネレ: 「詩人の湾」の入り口に位置する要塞化された港町。岬の先端に建つサン・ピエトロ教会や、丘の上のドーリア城が印象的です。
- 小島群: パルマリア島、ティーノ島、ティネット島からなる島々。手つかずの自然が残り、ティーノ島には初期キリスト教時代の修道院跡が残されています。
世界遺産登録と登録基準
人間と自然が長年にわたり調和して形成してきた文化的景観の顕著な見本として、1997年に世界文化遺産に登録されました。登録基準は以下の通りです。
- (ii) 人間社会が経済的、社会的な要求に応じて文化的景観を形成してきた過程を示す、優れた見本である。
- (iv) 厳しい地形に適応し、伝統的な生活様式を維持してきた集落と景観の顕著な見本。
- (v) 伝統的な土地利用の傑出した例であり、不可逆的な変化の脅威にさらされている文化的景観を代表する。
要素 | 特徴 |
---|---|
チンクエ・テッレ | 断崖に築かれた5つのカラフルな村々と段々畑の景観 |
ポルトヴェーネレ | 中世の面影を残す美しい港町とサン・ピエトロ教会 |
小島群(パルマリア、ティーノ、ティネット) | 豊かな自然と初期キリスト教の遺跡が残る島々 |