ピサのドゥオーモ広場の写真

ピサのドゥオーモ広場

概要

ピサのドゥオーモ広場は、イタリアのトスカーナ州ピサ市にある、中世イタリアの芸術・建築を代表する世界遺産です。その美しさから「奇跡の広場(Piazza dei Miracoli)」とも呼ばれています。広大な芝生の上に、大聖堂(ドゥオーモ)、洗礼堂、鐘楼(ピサの斜塔)、墓所(カンポサント)という、人の一生(誕生、生活、死、永遠)を象徴する4つの建築物群が白大理石で統一され、壮麗な景観を創り出しています。

歴史

この広場の建設は、11世紀にピサ海洋共和国がイスラム勢力との海戦に勝利し、その莫大な富と権勢を背景に始まりました。1064年に着工された大聖堂を皮切りに、洗礼堂、鐘楼、カンポサントが数世紀にわたって建設されました。これらの建築群は、イスラムやビザンティンの影響を受けた独自の「ピサ風ロマネスク様式」を確立し、中世におけるピサの栄光を今に伝えています。

主な建築物

  • 大聖堂(ドゥオーモ): 1064年着工。ピサ風ロマネスク様式の最高傑作とされ、壮麗なファサードと内部のモザイク画が特徴です。
  • 鐘楼(ピサの斜塔): 1173年着工。建設中の地盤沈下により傾き始めたことで世界的に有名になりました。現在もその傾きを保ちながら、修復作業により倒壊の危機は回避されています。
  • 洗礼堂(バッティステロ): 1152年着工。ロマネスク様式からゴシック様式への移行期に建てられ、内部の音響効果が素晴らしいことで知られています。
  • 墓所(カンポサント): 1278年着工。回廊で囲まれた長方形の墓地で、壁面はかつて壮大なフレスコ画で飾られていました。

世界遺産登録と登録基準

この広場の建築物群が持つ比類なき芸術的価値と、中世建築の発展に与えた影響が評価され、1987年に世界文化遺産に登録されました。登録基準は以下の通りです。

  • (i) 中世建築における人類の創造的才能を表現する傑作。
  • (ii) イタリアにおける記念碑的芸術の発展に、11世紀から14世紀にかけて決定的な影響を与えた。
  • (iv) キリスト教世界の重要な歴史的段階を物語る建築物群の顕著な見本。
  • (vi) ガリレオ・ガリレイの落体の法則に関する実験が行われたという伝説と強く結びついている。
建築物 特徴
大聖堂 ピサ風ロマネスク様式の最高傑作
鐘楼(ピサの斜塔) 独特の傾斜を持つ世界的に有名な塔
洗礼堂 ロマネスクからゴシックへの移行期を代表する円形建築で、優れた音響効果を持つ
カンポサント(墓所) 美しい回廊を持つ歴史的な墓地

ピサのドゥオーモ広場の基本情報

                         
国名 イタリア共和国
世界遺産の名称 ピサのドゥオーモ広場
遺産の種類 文化遺産
登録年 1987
拡張・範囲変更
危機遺産
危機遺産登録期間
登録基準 (ⅰ)(ⅱ)(ⅳ)(ⅵ)
備考
範囲(ヘクタール)8.87
地図

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