概要
ピエンツァの歴史地区は、イタリアのトスカーナ州に位置する小さな町です。15世紀に教皇ピウス2世の命により、ルネサンスの「理想都市」として再建されました。建築家ベルナルド・ロッセリーノが手掛けたこの都市計画は、調和と美を追求したルネサンスの理念を具現化したものとして高く評価されています。
歴史
この町は、15世紀にこの地で生まれた教皇ピウス2世(エネア・シルヴィオ・ピッコロミニ)が、自身の故郷をルネサンスの理想を体現する都市として変革させることを決意したことから生まれました。彼は建築家ベルナルド・ロッセリーノに都市全体の改築を命じ、1459年から1462年にかけて、広場を中心に大聖堂、ピッコロミニ宮殿などが建設され、中世の村はルネサンス都市へと生まれ変わりました。
主な建築物
ピエンツァの中心は、台形のピウス2世広場です。この広場を囲むように主要な建築物が配置されており、完璧な調和と遠近法が考慮された都市空間を創り出しています。
- ピエンツァ大聖堂: ルネサンス様式とゴシック様式が融合した建築。ファサードは初期ルネサンスの傑作とされます。
- ピッコロミニ宮殿: 教皇ピウス2世の私邸。中庭やロッジアからのオルチャ渓谷の眺めは壮観です。
- ボルジア宮殿(司教館): 広場の向かいに位置し、現在は教区美術館として利用されています。
- 市庁舎: 広場の北側にあり、時計塔が特徴的です。
世界遺産登録と登録基準
ピエンツァの歴史地区は、その都市計画と建築がルネサンス期の理想都市の優れた見本であることが評価され、1996年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。登録基準は以下の通りです。
- (i) 人類の創造的才能を表す傑作。ピエンツァは、ルネサンスの人間中心主義の理念が都市空間に初めて適用された例です。
- (ii) 建築、技術、記念碑、都市計画、景観設計の発展に重要な影響を与えた。ピエンツァの都市計画は、その後のイタリアやヨーロッパの都市発展に大きな影響を与えました。
- (iv) 人類の歴史上において重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積、または景観の顕著な見本。ルネサンス期の理想都市のコンセプトを完璧に体現しています。
建築物 | 特徴 |
---|---|
ピエンツァ大聖堂 | ルネサンス様式とゴシック様式が融合した美しいデザインとプロポーションが特徴 |
ピッコロミニ宮殿 | 教皇ピウス2世のために建設された宮殿で、ルネサンス建築の傑作 |
市庁舎(パラッツォ・コムナーレ) | 時計塔を持つ優雅な建物で、広場の調和を完成させている |