概要
サン・ジミニャーノ歴史地区は、イタリアのトスカーナ州シエナ県に位置する、中世の面影を色濃く残す丘の上の町です。1990年に世界遺産に登録されました。この町は「塔の町」として世界的に知られており、最盛期には72本もの塔が林立していたと言われています。これらの塔は、当時対立していた貴族たちが自らの権力と富を誇示するために競って建てたもので、現在も14本が現存し、他に類を見ない独特のスカイラインを形成しています。
主な見どころ
中世の雰囲気がそのまま残る町には、数々の見どころがあります。
- 塔の景観:町のどこからでも、また遠くからでも望むことができる塔が林立する景観は、サン・ジミニャーノ最大の魅力です。
- ドゥオーモ(参事会教会):ロマネスク様式の教会。内部の壁は、旧約聖書や新約聖書の物語を描いた14世紀の壮麗なフレスコ画で埋め尽くされています。
- チステルナ広場:町の中心にある三角形の広場。中央にある13世紀の井戸(チステルナ)が名前の由来です。
- グロッサ塔:現存する塔の中で最も高い54mの塔。頂上からは、サン・ジミニャーノの町並みとトスカーナの美しい田園風景を一望できます。
世界遺産登録基準
この遺産は、以下の基準を満たしたと見なされ、世界遺産に登録されました。
- (i) サン・ジミニャーノの歴史地区にあるフレスコ画群は、14世紀から15世紀のイタリア美術における傑作である。
- (iii) この町は、中世ヨーロッパにおける都市文明の姿を伝える、他に類を見ない証拠である。
- (iv) サン・ジミニャーノの塔は、中世イタリアの封建社会において、貴族の家系が政治的・経済的支配力を競い合った様子を物語る建築物群の顕著な見本である。