オザラ・コクアの森林山塊とは
オザラ・コクアの森林山塊は、アフリカ中央部に位置するコンゴ共和国にある、極めて保存状態の良い広大な熱帯雨林地域です。この地域は、コンゴ盆地の中でも特に生物多様性が豊かで、原生的な生態系が維持されています。アフリカ大陸における森林保全の最重要拠点の一つであり、その生態学的価値から2023年に世界自然遺産に登録されました。
この森林山塊は、特にマルミミゾウ(シンリンゾウ)の世界最大の個体群が生息することで知られています。また、ニシローランドゴリラやチンパンジーといった大型類人猿をはじめ、数多くの希少な動植物の聖域となっています。手付かずの自然が広範囲に残されているため、生態学的・生物学的進化のプロセスを研究する上で非常に重要な場所です。
登録基準
- (ix) 陸上、淡水、沿岸および海洋の生態系と動植物群集の進化と発達において、進行中の重要な生態学的・生物学的プロセスを代表する顕著な見本である。
この遺産は、大規模で原生的な熱帯雨林の生態系が維持されており、気候変動への応答など、長期的な生態学的プロセスを観測できる貴重な場です。 - (x) 生物多様性の保全上、最も重要かつ顕著な生息地を含んでいる。
マルミミゾウやニシローランドゴリラなど、絶滅の危機に瀕する多くの大型哺乳類の重要な生息地であり、地球規模での生物多様性保全に不可欠な役割を果たしています。
遺産の概要
オザラ・コクアの森林山塊は、オザラ・コクア国立公園を中心とした広大な保護区です。
- 地理と生態系: コンゴ盆地の北西部に位置し、湿潤な熱帯雨林、湿地、サバンナがモザイク状に広がっています。特に「バイ」と呼ばれる森林内の開けた湿地帯は、多くの動物が集まる重要な場所です。
- 主要な生物種: マルミミゾウ、ニシローランドゴリラ、チンパンジー、ボンゴ(レイヨウの一種)など、多様な大型哺乳類が生息しています。鳥類や昆虫、植物相も非常に豊かです。
- 保全活動: 密猟や違法伐採の脅威に晒されているため、政府機関と国際的なNGOが協力し、厳格なパトロールや地域コミュニティと連携した保全活動が行われています。
特徴 | 説明 |
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原生的な熱帯雨林 | 人の影響をほとんど受けていない、コンゴ盆地の広大な森林生態系。 |
マルミミゾウの最大個体群 | 絶滅が危惧されるマルミミゾウの世界で最も重要な生息地。 |
豊かな生物多様性 | ニシローランドゴリラをはじめとする多くの希少な動植物の聖域。 |