古代都市サーマッラーの概要と価値
古代都市サーマッラーは、イラク中部のティグリス川沿いに位置する歴史的都市です。836年にアッバース朝のカリフ・ムウタスィムによって建設され、892年まで首都として繁栄しました。計画的に設計された壮大な宮殿群、モスク、住居地などが広大な範囲にわたり保存されており、アッバース朝時代の文化と建築技術の重要な証拠を提供しています。2007年にユネスコの世界文化遺産に登録されると同時に、危機遺産リストにも記載されました。
世界遺産登録基準
- (ii) サーマッラーで発展した建築と芸術の様式は、イスラム世界の他の地域、特にチュニジアから中央アジアにまで影響を及ぼしました。
- (iii) 9世紀におけるアッバース朝の首都として、その文明を伝える他に類を見ない考古学的証拠です。
- (iv) 螺旋状のミナレットを持つサーマッラーの大モスクは、アッバース朝の権力と精神性を象徴する最も傑出した建築例の一つです。
主要な遺跡
サーマッラーの遺跡からは、壮大な宮殿やモスク、装飾品、日常生活の道具など、多くの重要な遺物が発見されています。これらはアッバース朝時代の文化と生活を理解するための重要な資料です。
| 遺物 | 特徴 |
|---|---|
| 宮殿群 | アッバース朝の政治的中心地であり、計画的な都市設計が見られる。 |
| 大モスクとマルウィヤ・ミナレット | 宗教的中心地であり、独特の螺旋状ミナレットを持つ。 |
| 住居地区 | 広範囲に広がる住居跡は、当時の都市規模を示す。 |
保全状況
サーマッラーの遺跡は、その歴史的価値から多くの研究者や歴史愛好家の注目を集めています。しかし、長年の紛争や情勢不安により、遺跡の保護は深刻な課題に直面しており、ユネスコの危機遺産リストに登録されています。国際社会と連携した遺跡の調査、修復、そして将来の世代にこの貴重な遺産を伝えるための保護活動が続けられています。