クラドルビ・ナド・ラベムの儀礼用馬車馬の繁殖・訓練の景観とは
チェコ共和国のエルベ(ラベ)川沿いの平野に位置するこの景観は、ハプスブルク帝国皇帝の儀礼用馬車を牽く「クラドルビ馬(クラドルーバー)」の繁殖と訓練のために、16世紀から整備されてきた場所です。400年以上にわたりその目的と姿を維持してきたことが評価され、2019年に世界文化遺産に登録されました。
世界遺産としての価値
この遺産は、ヨーロッパの宮廷文化を象徴する儀礼用馬車馬を育成するという特定の目的のために、人工的に設計・維持されてきた文化的景観の顕著な例です。
- 登録基準(iv): バロック時代から啓蒙時代にかけての理想に基づき、厩舎、城館、教会、そして馬の訓練や放牧のための牧草地、森林、水路網が合理的に配置されており、馬の育成に特化した建築・景観設計の優れた見本です。
- 登録基準(v): 何世紀にもわたり、クラドルビ馬の繁殖と調教という伝統的な土地利用が継続され、そのための知識や技術が受け継がれてきました。
景観の主な施設
- クラドルビ国立種馬牧場: ルネサンス様式とバロック様式が融合した厩舎や城館を中心とする施設群。
- 景観設計: 放牧地、畑、灌漑用の水路、並木道などが幾何学的に配置され、馬の育成に最適な環境が作られています。