リスコ・カイドとグラン・カナリア島の聖なる山々の文化的景観とは
スペイン領カナリア諸島のグラン・カナリア島中央部に位置するこの遺産は、15世紀にスペイン人に征服される以前に栄えた先住民文化の痕跡を色濃く残す文化的景観です。2019年に世界文化遺産に登録されました。特に、洞窟住居群や宗教儀式、天体観測に用いられた施設が含まれています。
世界遺産としての価値
この景観は、北アフリカのベルベル人に起源を持つとされる先住民が、島という孤立した環境で独自の文化を発展させたことを示す貴重な証拠です。
- 登録基準(iii): リスコ・カイドの洞窟群などに見られる祭壇や幾何学模様の壁画は、消滅した島の先住民文化の豊穣信仰や母なる大地の思想を伝えるユニークな物証です。
- 登録基準(v): 断崖絶壁に掘られた洞窟住居や穀物倉庫、段々畑、雨水を集める水利システムなど、厳しい自然環境に適応した土地利用の顕著な例です。
景観の主要な構成要素
- リスコ・カイドの洞窟群: 儀式や集会に用いられたとされる洞窟。特に「C6洞窟」は、天井の穴から差し込む光が夏至や冬至などの天文現象を示すように設計されています。
- 洞窟住居と穀物倉庫: 人々が暮らし、収穫物を貯蔵した場所で、断崖に築かれています。
- 聖なる岩(ロケ): 宗教的な意味を持つと考えられる巨大な岩が点在しています。