新疆天山
新疆天山は、中央アジアを横断する天山山脈のうち、中国の新疆ウイグル自治区に位置する部分で、2013年にユネスコの世界自然遺産に登録されました。この遺産は、トムール、カラジュン-クエルデニン、バインブルク、ボグダの4つの構成資産からなり、雪を頂いた高峰、壮大な氷河、美しい森林、広大な草原、砂漠など、対照的で多様な景観を含んでいます。
乾燥地帯の生態系と壮大な自然美
新疆天山の価値は、その壮麗な景観と、乾燥した中央アジア地域における生態学的な重要性にあります。天山山脈は、周囲の広大な砂漠地帯とは対照的に、降水量が豊富で「湿潤島(wet island)」としての役割を果たしています。この独特の環境が、氷河から砂漠まで多様な生態系の垂直分布を生み出し、ユキヒョウなどの希少種を含む多くの動植物の生息地となっています。また、氷河を頂くボグダ峰や、緑豊かな草原が広がるカラジュンなど、対照的な美しさを持つ景観は、この地域の自然の豊かさを象徴しています。
登録基準
この遺産は以下の基準を満たしたと評価され、世界遺産に登録されました。
- (vii) ひときわ優れた自然美及び美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域を包含するもの。
- (ix) 陸上、淡水、沿岸および海洋生態系と動植物群集の進化と発達において、進行中の重要な生態学的過程または生物学的過程を代表する顕著な見本であるもの。
主要な景勝地(構成資産)
| 景勝地名 | 特徴 |
|---|---|
| ボグダ | 天山山脈東部に位置し、標高5,445mのボグダ峰と天池が中心。 |
| カラジュン-クエルデニン | 起伏に富んだ草原景観が特徴。生物多様性が高い。 |
| バインブルク | 広大な高山湿地が広がり、多くの渡り鳥の繁殖地となっている。 |
新疆天山は、その自然景観と生態系の多様性から、訪れる人々に深い感動を与えます。この遺産を保護し、後世に伝えていくことは、私たちの責務であり、世界の自然遺産としての価値を高める重要な役割を果たしています。