上都(ザナ-ドゥ)の遺跡
上都(ザナドゥ)の遺跡は、中国の内モンゴル自治区シリンゴル盟にある元朝の夏の都の遺跡で、2012年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。1256年にモンゴル帝国のフビライ・ハンによって建設が開始され、帝国の首都として、また後の元朝の夏の都として栄えました。マルコ・ポーロの『東方見聞録』によってヨーロッパにもその名が知られ、「ザナドゥ」は理想郷の代名詞となりました。
農耕と遊牧文化が融合した理想都市
上都の遺跡の価値は、フビライ・ハンが目指した多文化共存の理念が都市設計に体現されている点にあります。都市は、中国の伝統的な風水思想と都市計画に基づいた宮城と皇城、そしてモンゴルの遊牧生活の伝統を反映した広大な庭園や狩猟場から構成されていました。この二重の構造は、農耕文化と遊牧文化の融合を象徴するものであり、元朝という帝国の性格を色濃く反映しています。仏教寺院、イスラム教のモスク、道教寺院の遺跡も発見されており、多様な宗教と文化が共存した国際都市であったことを示しています。
登録基準
この遺産は、4つの文化遺産登録基準(ii, iii, iv, vi)を満たしていると評価されています。
- (ii) 文化の交流を示し、(iii) 文明の証拠であり、(iv) 優れた建築様式と都市計画を示し、(vi) 歴史上の重要な出来事と関連している。
主要な遺跡
遺跡名 | 特徴 |
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宮城 | 皇帝の住居や政務の中心であった場所。大安閣などの主要な建物の基壇が残る。 |
皇城 | 宮城を囲む城壁の内側。官庁や工房、寺院などが置かれていた。 |
関廂(かんそう) | 城壁の外に広がる区域。商業地区や庭園、狩猟場があったとされる。 |