澄江の化石産地
澄江の化石産地は、中国雲南省玉渓市澄江市に位置する化石発掘地域で、2012年にユネスコの世界自然遺産に登録されました。ここは、約5億1800万年前のカンブリア紀前期の生物の化石が、非常に良好な状態で大量に発見されることで世界的に知られています。「澄江動物群」と呼ばれるこれらの化石は、生命の歴史における大事件「カンブリア爆発」の実態を解明する上で、極めて重要な手がかりを提供しています。
カンブリア爆発を物語る化石群
澄江動物群の最大の価値は、その並外れた保存状態にあります。通常は化石として残りにくい眼、内臓、神経といった軟体部組織までが、詳細に保存されている例が多数見つかっています。これにより、古代生物の姿形だけでなく、内部構造や生態まで推測することが可能になりました。発見された生物は、現生の動物門の祖先にあたるものから、系統不明の奇妙な姿をしたものまで多岐にわたり、カンブリア紀に生物の多様性が一気に花開いた様子を如実に示しています。
登録基準
この遺産は以下の基準を満たしたと評価され、世界遺産に登録されました。
- (viii) 地球の歴史上の主要な段階を示す顕著な見本であるもの。これには、生物の記録、地形の発達における重要な地学的進行過程、重要な地形的特性、自然地理的特性などが含まれる。
澄江動物群の主な特徴
- バージェス頁岩動物群より古い: カナダの有名な化石産地よりも約1000万年古い時代の生物相を示す。
- 卓越した保存状態: 軟体部組織が保存されており、古代生物の全体像を復元できる。
- 生物の多様性: 16以上の動物門、約200種の生物が確認されており、カンブリア爆発の規模を物語る。