青城山と都江堰水利施設とは
青城山と都江堰(とこうえん)水利施設は、中国四川省に位置する文化遺産で、2000年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。青城山は中国道教の発祥地の一つとされる神聖な山であり、都江堰は紀元前3世紀に建設された古代の水利システムです。自然と人間の知恵が融合したこの遺産は、今なお地域社会に貢献し続けています。
遺産の価値
この遺産の価値は、自然を巧みに利用した古代の卓越した土木技術と、中国の精神文化に深く根ざした宗教的伝統の二つの側面に集約されます。
- 画期的な水利技術:都江堰は、堤防を設けずに岷江の水を分流させ、洪水防止と灌漑を両立させた画期的な水利施設です。2200年以上経った現在も機能し続けており、古代中国の科学技術の高さを証明しています。
- 道教文化の聖地:青城山は、後漢時代に張陵が道教を創始した場所とされ、多くの道教寺院が点在します。「天下の幽」と称される静寂で美しい自然環境の中に、道教の宇宙観や思想が息づいています。
主な見どころ
技術と宗教、二つの異なる魅力を持つ遺跡が共存しています。
遺跡名 | 特徴 |
---|---|
都江堰水利施設 | 魚嘴、飛沙堰、宝瓶口と呼ばれる3つの主要部分から構成され、巧みな水の制御技術を見ることができる。 |
青城山 | 天師洞や上清宮などの道教寺院が深い森の中に点在し、神秘的な雰囲気に包まれている。 |
登録基準
- (ii) ある期間を通じて、または、ある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
- (iv) ある建築様式、建築物群、技術の集積、または景観の顕著な例。
- (vi) 顕著な普遍的意義を有する出来事、生きた伝統、思想、信仰、芸術的、文学的作品と直接に、または明白に関連するもの。
参考文献
「青城山と都江堰水利(灌漑)施設」UNESCO World Heritage Centre. https://whc.unesco.org/ja/list/1001