廬山国立公園(廬山の文化的景観)とは
廬山は中国江西省にある景勝地で、その雄大な自然美と豊かな文化遺産が融合した「文化的景観」として、1996年に世界文化遺産に登録されました。古来より多くの文人墨客に愛され、数多くの詩や絵画の題材となりました。また、仏教(浄土宗発祥の地)や儒教(朱子学大成の地)の重要な拠点であり、近代には政治家たちの避暑地や会議の場となるなど、中国の精神史・文化史において重層的な役割を果たしてきました。
世界遺産登録基準
- (ii) 東晋時代以降、精神的な価値を追求する中国の知識人たちによって築かれた独特の文化的景観が、文明の発展を示している点。
- (iii) 廬山の景観は、中国の精神文化と生活様式の発展における重要な側面を物語る証拠である点。
- (iv) 廬山にある建築群は、自然の美しさと見事に調和した文化的景観の優れた例である点。
- (vi) 中国の歴史、宗教、哲学、文学において、廬山が果たしてきた中心的な役割と深く関連している点。
主な名所・史跡
廬山には、その多様な歴史を物語る史跡が数多く残されています。
| 名称 | 特徴 |
|---|---|
| 東林寺(とうりんじ) | 4世紀に高僧・慧遠によって創建された寺院。阿弥陀仏への信仰を誓う「白蓮社」が結成され、中国仏教の浄土宗発祥の地とされます。 |
| 白鹿洞書院(はくろくどうしょいん) | 唐代に創建され、南宋時代に朱熹(朱子)によって再興された、中国四大書院の一つ。朱子学(儒教)研究の中心地でした。 |
| 三畳泉(さんじょうせん) | 「廬山の第一奇観」と称される、三段に分かれて流れ落ちる壮大な滝。多くの詩人に詠まれた景勝地です。 |
| 廬山会議旧址 | 1959年と1970年に中国共産党の重要会議が開かれた場所。近代中国史の舞台としても知られています。 |