武当山の道教寺院群とは
武当山は中国湖北省にある山岳で、道教における重要な聖地です。特に、武術(太極拳や形意拳)の発祥の地としても世界的に知られています。15世紀、明の永楽帝が自身の即位の正当性を示すため、国家事業として山全体に壮大な道教寺院群を建設しました。自然の地形を巧みに利用して配置された建築群は、道教の「天人合一」思想を体現しており、中国の宗教建築の最高傑作と評され、1994年に世界文化遺産に登録されました。
世界遺産登録基準
- (i) 15世紀初頭に建設された建築群は、中国の芸術と建築が到達した頂点の一つを示す傑作である点。
- (ii) 武当山の宗教建築は、その後約1000年にわたる中国の芸術・建築に決定的な影響を与えた点。
- (vi) 中国の精神文化において重要な位置を占める道教の思想や儀式と、深く関連している点。
主な道観(寺院)
武当山には多くの道観(道教寺院)がありますが、特に以下の建築物はその中心的存在です。
| 道観名 | 特徴 |
|---|---|
| 紫霄宮(ししょうきゅう) | 明代に再建された、武当山で最も保存状態の良い最大の宮殿建築群。壮麗な「紫霄殿」を中心に構成されています。 |
| 南岩宮(なんがんきゅう) | 断崖絶壁に張り付くように建てられた宮殿。中でも崖から突き出た石梁の先端に龍の彫刻が施された「龍頭香」は有名です。 |
| 金殿(きんでん) | 標高1612mの天柱峰の頂上に位置する、銅製の建物。すべての部品が銅で鋳造され、北京で製作後に現地で組み立てられました。 |