宗廟とは
宗廟(チョンミョ)は、韓国のソウル市に位置する朝鮮王朝(1392年〜1910年)の歴代王と王妃の位牌を祀る儒教の霊廟です。1995年に世界文化遺産に登録されました。1394年に初代王・太祖によって創建され、儒教の思想に基づき、華美な装飾を排した荘厳で簡潔な建築様式が特徴です。現在も、王朝時代から続く「宗廟祭礼」と呼ばれる儀式が執り行われており、建築と無形の伝統が一体となった稀有な遺産です。
遺産の価値
- 儒教建築の典型: 儒教の礼制に従って建てられた霊廟建築として、その空間構成や意匠は他に類を見ない完成度を誇ります。水平性を強調した長い社殿は、独特の荘厳な雰囲気を醸し出しています。
- 生きている遺産: 創建当初から続く宗廟祭礼と、その儀式で演奏される音楽(宗廟祭礼楽)は、現在も定期的に行われています。これらはユネスコの無形文化遺産にも登録されており、建築物と一体となってその価値を高めています。
主な建造物
宗廟は、位牌を祀る正殿と永寧殿を中心に構成されています。
| 建造物名 | 特徴 |
|---|---|
| 正殿(チョンジョン) | 在位中に功績のあった王と王妃の位牌を祀る中心的な建物。増築を重ね、現在では101mにも及ぶ木造建築。 |
| 永寧殿(ヨンニョンジョン) | 正殿に祀りきれなくなった王や、追尊された王とその妃の位牌を祀る別廟。「万年の安寧」を意味する。 |
登録基準
- (iv) 儒教の思想を完璧に表現した、儀礼のための建築空間として、他に類を見ない傑出した事例である。