ストーンヘンジ、エイヴベリーと関連遺跡群の概要
ストーンヘンジとエイヴベリーの巨石遺跡群は、イギリス南部のウィルトシャー州に位置する世界で最も有名な先史時代の遺跡群です。1986年に世界文化遺産に登録されたこの資産は、特定の建造物だけでなく、新石器時代から青銅器時代にかけて造成された古墳、土手道、環状列石(ストーンサークル)などが集中する広大な儀式的景観全体を含んでいます。これらの遺跡は、当時の人々の高度な技術力、社会組織、そして宇宙観を今に伝えています。
世界遺産としての価値
この遺跡群は、先史時代の人類の精神文化と技術力を示す比類なき証拠として、3つの基準で評価されています。
- 登録基準(i): ストーンヘンジの精密に加工され配置された巨石や、エイヴベリーの広大な環状列石は、人類の創造的天才性を示す傑作です。特にストーンヘンジは、夏至や冬至の日の出・日の入りと関連付けられた、天文学的知識の応用が見られます。
- 登録基準(ii): ヨーロッパ各地の巨石文化との関連性を示しており、先史時代における思想や技術の広範な交流を物語っています。
- 登録基準(iii): 数千年にわたって儀式の場として機能したこれらの遺跡は、すでに消滅した文明の信仰や社会的伝統を伝える貴重な物証です。
主な構成資産
この世界遺産は、主に2つのエリアに分かれています。
- ストーンヘンジ地区: 環状に配置された巨大なサーセン石と、その内側にあるブルーストーンの二重のサークルが特徴。周辺には「アベニュー」と呼ばれる参道や数多くの墳墓(バロウ)が点在しています。
- エイヴベリー地区: 世界最大のストーンサークルで知られ、巨大な土手と堀に囲まれた内部に大小の環状列石が配置されています。近くには、ヨーロッパ最大の人工の丘であるシルベリー・ヒルや、ウェスト・ケネット・ロング・バロウといった重要な遺跡も含まれます。