概要
「キューの王立植物園」は、ロンドン南西部に位置する世界有数の植物園であり、世界文化遺産に登録されています。1759年に王室の庭園として始まり、現在では植物学の研究と教育、そして生物多様性保全の世界的中心地となっています。広大な敷地には、歴史的な景観庭園や象徴的な温室、そして世界中から集められた多様な植物コレクションが収められています。
歴史と庭園デザイン
キューの庭園は、18世紀のイギリス式風景庭園の発展において重要な役割を果たしました。ウィリアム・ケントやケイパビリティ・ブラウンといった著名な造園家が設計に携わり、自然の美しさを活かした景観が生み出されました。19世紀には、世界中の植物を収集・研究する科学機関としての性格を強め、大英帝国の植物資源の拠点ともなりました。
主な建造物
園内には、様々な時代の建築様式を代表する重要な建造物が点在しています。
| 施設名 | 特徴 |
|---|---|
| パームハウス | 1848年完成。ヴィクトリア朝の鉄とガラス建築の傑作で、世界中の熱帯植物を展示している。 |
| テンペレートハウス | 現存する世界最大のヴィクトリア朝様式の温室。世界各地の温帯地域の植物を展示。 |
| パゴダ(仏塔) | 1762年完成。東洋趣味を反映した10層の塔で、園の象徴的なランドマーク。 |
| キュー宮殿 | 17世紀に建てられた、園内で最も古いレンガ造りの建物。 |
世界遺産登録基準
- (ii) 18世紀以来、植物の科学的・経済的利用に関する世界的な情報交換の中心地であり、そのコレクションに影響が反映されている。
- (iii) 植物学と生態学の分野における科学的発展に大きく貢献してきた歴史を持つ。
- (iv) 著名な芸術家によって創造された景観庭園と建築物は、その後の庭園デザインに国際的な影響を与えた。