概要
「カンタベリー大聖堂、セント・オーガスティン修道院跡とセント・マーティン教会」は、イングランド南東部ケント州カンタベリーに位置する世界文化遺産です。これら3つの資産は、イングランドにおけるキリスト教の歴史の黎明期を物語る極めて重要な場所です。597年の聖アウグスティヌスによる布教活動の拠点となり、以来、イングランド国教会の精神的中心地としての役割を担ってきました。
主な構成資産
この遺産は、それぞれ異なる歴史的背景を持つ3つのキリスト教建築物群から構成されています。
| 構成資産名 | 特徴 |
|---|---|
| カンタベリー大聖堂 | イングランド国教会の総本山。ロマネスク様式とゴシック様式が融合した壮麗な建築で、1170年のトマス・ベケット大司教の殉教地としても知られる。 |
| セント・オーガスティン修道院跡 | 聖アウグスティヌスが設立した修道院の遺跡。かつてはイングランドにおけるキリスト教布教の中心地であった。 |
| セント・マーティン教会 | イングランドで最も古くから継続的に使用されている教区教会。アウグスティヌス到来以前から存在し、ベルタ王妃の私的な礼拝堂であったとされる。 |
世界遺産登録基準
- (i) カンタベリー大聖堂の聖歌隊席やトリニティ礼拝堂のステンドグラスなどはロマネスク様式からゴシック様式への移行期における建築の傑作である。
- (ii) ローマからやってきたキリスト教がアングロ・サクソン人の地で発展していく様子を物語っており、その後のイングランドの建築、文化、歴史に大きな影響を与えた。
- (vi) 597年の聖アウグスティヌスによる布教以来、イングランド国教会の中心地であり続けている。また、トマス・ベケットの殉教地として、中世から続く重要な巡礼地でもある。